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読書芸人のピース又吉「原点は保育園の読み聞かせ」と母語る

 お笑い芸人としては初、しかも1作目で芥川賞を受賞したピースの又吉直樹(35)。見た目はいかにも“作家然”としているが、高校時代は関西の強豪、北陽高校サッカー部に属し、大阪府代表でインターハイにも出場した経験がある。

 サッカー部監督(当時)の野々村征武さんは、当時を思い出してこういう。

「私が一番感心したのは、遠征のバスは早朝6時の出発にもかかわらず、又吉くんはすぐに読書をしていたこと。ほかの生徒は眠っているのに、彼だけ姿勢を正して読書している姿が、今でも印象に残っています」

 又吉本人は、テレビなどで、中学の教科書に載っていた芥川龍之介の『トロッコ』を読んだことがきっかけで読書好きになり、太宰治の『人間失格』を読んで衝撃を受けたと語っている。太宰の命日に墓参りをするほどのファンでもある。

 高校時代の同級生も、こんなエピソードを語る。

「国語の教科書に芥川龍之介の作品が載っていて、先生が『芥川のほかの作品を知っている人いるか?』と聞くと、又吉が『羅生門』とか『蜘蛛の糸』などの作品名を答えたあと、ある作品の冒頭をスラスラと暗唱し始めたんです。暗記するほど読み込んでいるのかとびっくりしました」

 又吉は、週に10冊は読み、これまで読んだ本は約2000冊とも語っていて、自他ともに無類の本好きを認めている。活字離れが叫ばれる昨今、絶滅が危惧されている“読書家”だが、こんなキャラが生まれた原点はどこにあるのか。又吉の母・みよ子さんが語る。

「私たち夫婦は共働きだったので、あの子を保育所に預けていたんですが、そこでよく読み聞かせをしてくれたようです。家にたくさん本があったというわけではなかったので。本人は小さいころから絵本が非常に好きで、本や物語に親しんでいたと思います」

 中学校以降は、友人らがマンガを読んでいるなかで、又吉だけは日本文学を手当たり次第に読んでいたという。

※週刊ポスト2015年8月7日号

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