モテ車を解説する「週刊ポスト」連載の「死ぬまで カーマニア宣言!」。今回は、飾り気のないフツーのクルマ、国際大衆車のトヨタ・カローラのワゴンとホンダのグレイス/シャトルのどちらが美女にモテるか、これまでにクルマを40台買ってきたフリーライター・清水草一氏(53)が解説する。
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カーマニア的にはホンダ勢が優勢だ。ハイブリッドシステムはフィットからの移植。組み合わされる先進的変速機のDCT(※注)はすでに何度もリコールになったが、改良の甲斐あってさすがに完成度は高まっている。
【※注:デュアル・クラッチ・トランスミッションの略。ギアが奇数段(1、3、5速)と偶数段(2、4、6段)の2系統に分かれ、それぞれにクラッチがあり、素早い変則ができるシステム】
ハイブリッドと言えばプリウスやアクア、そしてカローラなどトヨタの独壇場だが、すべてE-CVT(電気式無段変速機)。低速ノロノロなら抜群にスムーズだが、積極的に走ると退屈だ。対するホンダのハイブリッドシステムは、7段変速のDCTとの組み合わせで、エンジンの吹け上がりも気持ちいい。カーマニア的には、ホンダのハイブリッドシステムの方がはるかに運転を楽しめる。
見た目も悪くない。特にセダンのグレイスはシンプルながら端正で、遠くから真横を見るとBMW・3シリーズに見えないこともない。特にボディカラーが白だと一瞬見間違えそうになる。大きなプラスポイントだ。
一方ワゴンのシャトルは、ゴチャッとした飾り気満点のデザイン。インテリアも飾り気が先行しており、ゴージャス感はあり、それを好む美女もいよう。
乗り心地は実にイイ。グレイスもいいがシャトルの方が一段上の高級感だ。美女はなによりも乗り心地を重視する傾向があるので、その点ではカローラに大きな差をつけられる。
シャトルは、荷室の広さでもカローラ フィールダーに大差をつけている。広い荷室には、積もうと思えば後席を跳ね上げて背の高いものも積めるので、ガーデニングの鉢植えの買い出しにも重宝する。美女とガーデニングなんてステキではないだろうか? 次は庭いじりならぬ美女いじりを目指すぞウッシッシ、である。
価格は、グレイス/シャトルの方が、ライバルのカローラ軍団よりともに15万円ほど安くてお買い得。
■清水草一:編集者を経て、フリーライターに。「自動車を明るく楽しく論じる」がモットーの53歳。現在、フェラーリ・458イタリア、BMW・335iカブリオレ、トヨタ・アクアを所有。日本文藝家協会会員。
※週刊ポスト2015年8月14日号