業務上必要な道具を支給しないのも、形を替えた下請けいじめといえるだろう。夫の経営する工場で経理を手伝う50才のC子さんは、「大手に利用されている状況は昔から変わらない」と感じている。
「納期まで数日しかないような厳しい状況で大企業から発注が来ることがあります。先方の営業担当者は『今回なんとか無理を聞いてくれれば、今後はおたくとのおつきあいを増やすので』と言うので、残業や緊急のバイトを雇って、なんとか間に合わせるのですが、その後はナシのつぶて。もちろん、特急料金が支払われることはありません」
あの手この手の下請けいじめに直面したとき、泣き寝入りをしないためにはどうしたらいいのか。
「親事業者は、注文書などの発注書面を渡す必要があります」と経済産業省担当者。
ただ、口頭で請け負ってしまい、代金を払ってくれないというケースもあるが…。
「金額はいくらで、納期はいつなのか、口頭での発注をメモに残しておくといいでしょう。それが後々、弁護士を通じての話し合いで有効になったことがあります」(担当者)
メールを使うというテクニックもある。
「『間違いがあるといけないので、これでよかったかどうか確認し、返事をください』などと発注内容を記載して送るのも、記録が残るので賢いやり方です」(担当者)
経産省では、“下請けかけこみ寺事業”を行って、中小企業からの相談を受け付けているので、そこに相談するのもよいだろう(https://www.zenkyo.or.jp/kakekomi/)。
仕方ないと諦める前に、できることをやっておく。それが下請けいじめから身を守る自衛策となる。
※女性セブン2015年9月3日号