1987年の日本テレビ年末時代劇『田原坂』での里見浩太朗扮する西郷隆盛の弟・従道など、歴史上の人物も数多く演じた。
「歴史上の人物を演じる時は責任を物凄く感じます。西郷従道の時は斎藤武市監督に『鹿児島弁でやっていいですか』とお願いしたんです。『何を言っているか分からなかったら、やめますから言ってください』ということでネイティブな鹿児島弁でやったら監督は『分かるよ』と。気持ちが入っていれば、言葉は通じるものなんだと思います。
『昔の鹿児島ではそうは言わんだろう』とか言いながら、方言指導も僕がやりました。里見さんも『これは、どう言えばいいんだ?』と聞いてくるので、『こう言ってください』と教えたりしていましたね。
『南洲翁異聞』(2008年、鹿児島テレビ)で西郷さんの役をやった時は、明治維新の頃の薩摩ではどういう言葉が使われていたのかを知りたくて、大久保利通との実際の手紙のやりとりを調べました。すると全て鹿児島弁で書いてある。これは正しいと思い、そう喋りました。
事前に調べることは絶対にやらなきゃダメだと思います。時代劇の場合、知らない言葉が一杯あるわけですから、知らないまま現場に行くと、言い間違えをして、みんなの前で恥をかくことになるでしょう。ちゃんとやってこないと、スタッフも向こうからは教えてくれません。そういう世界です。最悪の場合は、監督に堂々と聞けばいい。『不勉強なんで、この読み方を教えてください』と」
※週刊ポスト2015年9月4日号