外国人が日本を訪れるにあたり期待していたことを聞くと、「日本食を食べること」が69.0%と最も多いが、「温泉入浴」も28.7%にのぼる(観光庁「訪日外国人の消費動向 平成27年4-6月期報告書」調べ)。政府の観光立国政策によって訪日外国人数は2013年から過去最高を記録し続け、東京五輪が開催される2020年は2500万人超になる見込みを考えると、見逃せない規模のお客さんだ。タトゥーカバーが必要なのもうなずける。
外国人受け入れを理由として導入が進むタトゥー隠しシールだが、ファッションとしてタトゥーを入れている日本人にもありがたい変化だ。背中に花のタトゥーを入れた30代の女性は、3歳の娘と一緒にプールを行くときシールを使っている。
「タトゥーを入れたこと自体は後悔していませんが、なるべく人には見せないようにしてきました。だから温泉とか我慢してきたけど、プールに行きたいと子どもに言われて、どうにかしたいと思ったんです。カバーシールを知ったときは嬉しかった。大丈夫とは思うんだけど、近くで見られるとバレるかもしれないと不安なので着替えやシャワーは壁ぎわですませています。でも、行けないことを思えばそのくらいの不便はなんともないです」
日本でも若者を中心にワンポイントを含めると、入れ墨やタトゥーをファッションとして入れている人は増えている。だからといって、どこでもその肌を見せられるようにはならないので、タトゥーを隠すのはお互いを気づかう配慮のしるしともいえるだろう。
「年配の方や小さい子どもを連れた家族連れの方からは、入れ墨やタトゥーの肌が見えていると恐いでしょうし、少なくともさわやかな気持ちにはならないと思います。それに、タトゥーを入れている人に対するマナーが悪いイメージも強い。だからこそ、タトゥーを入れている人の側が、自分が楽しむためだけでなく、マナーとしてもカバーシールを使う意味があると思います」(前出・株式会社ALAE担当者)
タトゥー隠しシールは温泉やプールなど、肌を見せる場所でのマナーとして定着するか。