ホームページの中身に関していえば、犯行前から彼の自己像が変わっていないという印象を受けます。
Aは犯行前から、醜いナメクジこそが自分の“心象生物”だと定義しています。自分なんか人間じゃないという思いと同時に、自分は人間の領域を超えたことができるんだという思いが共存していた。これは、シゾイドパーソナリティ(統合失調症)の一種です。今もナメクジにこだわっているあたり、その内面に変化はないのでしょう。
それから、セルフポートレートの中に月と太陽のイラストがありますが、犯行時にAが自ら創り出して崇めていた『バモイドオキ神』のイラストの中にも、同じように太陽と月が描いてある。
このセルフポートレートでは、当時バモイドオキ神を描いていた位置に、自分の身体を置いている。今の自分は神に成り代わったという意識の表れなのか。いずれにせよ、Aの中にある崇めるべきイメージは18年前から変わっていない。
ただ、今のAが再び犯罪に向かうかといえば、その可能性はないと思います。過去の犯罪を栄光として、今度は表現という形で花咲かせようとしている。
問題なのは、このホームページが青少年にどれだけの悪影響を与えるか想像もつかないことです。
あれだけの犯罪を犯した人間が、露骨な自己主張を潜めた情報発信を開始する。Aにアンチヒーロー的なあこがれを感じている一部の人間にとっては聖なるサイトと化し、必ず崇拝者が現れるでしょう。Aは一種の教祖的存在になり、社会に影響力を行使し続けることになる。
今後の日本社会の中で、青少年の精神風土のネガティブ面での大きな核となっていってしまうのではないか。このホームページには、それほどの恐怖を感じます。
※女性セブン2015年9月24日号