実際に仕事で周囲とコミュニケーションをとるとき、主にどの手段を使っているか複数回答可で調査したところ、メールが98.33%でトップ、次が電話の92.67%、LINEはわずか10.9%にとどまっていた。また、仕事で外部の人から初めて連絡をもらうとき失礼だと思う手段としてはLINE(50.87%)、Twitter(41.73%)、Facebook(35.00%)が上位3つを占めた(一般社団法人ビジネスメール協会調べ)。
SNS普及率が高まりつつあるとはいえ、まだ仕事での主要な連絡手段とはいえない状態だ。ならば適切な使い方を早めに学んでほしいところだ。情報処理を教える神奈川大学非常勤講師の尾子洋一郎さんは講義でメールの使い方を説明するとき、電話との違いに必ず触れている。
「24時間関係なく自分のタイミングで情報を送り受け取れることは、メールと電話とのもっとも大きな違いですね。証拠が残るという点で連絡手段としてメールを推奨していますが、それには本文と件名を必ず入れるなど、最低限の形が整ったメールである必要があります。それでも相手に必ず届いて読まれる保証はなく、返信がないメールは届いていない可能性があると考えるように言っています。
緊急時のどんな内容の連絡も、どうするのか確認しておいた方がお互い嫌な気持ちにならずに済むでしょう。大事な連絡は必ず電話でという職場もあれば、会社の連絡事項はメッセンジャーを使って組んだグループに流すと決めているところもある。メールやSNSを使いこなしている人も、あまり使っていない人も、自分の使っている連絡手段が相手も使っているのが常識だと思いこまずに相手に確実に伝わる方法を決めておくのがいいでしょうね」
事業所のインターネット普及率が99%に達したのは2007年末、個人で毎日使う人は全体でようやく74%。SNSの普及率も全体で65%に達したところだ。コミュニケーションの“常識”はいまだに端境期にある。