西田は1974年の映画、『襤褸の旗』で、ついに憧れの三國連太郎と共演を果たす。舞台は明治。公害と環境破壊に対して戦った足尾鉱毒事件の田中正造の半生を描いた作品で、田中正造役の三國に対し、西田は農民の一人として出演している。
「三國さんに背中を叩かれるシーンの撮影前、共演者の女優さんに『着物の中に本を入れておいた方がいいよ』と言われたそうです。『まさか、お芝居なんだから本気で叩くわけじゃあるまいし』と思っていた西田さんですが、いざ本番となると三國さんに容赦なく叩かれたんです。その時の衝撃は強烈で、『こんちくしょー! いつか三國連太郎を超えてやる!』と誓い、それを糧に俳優業を頑張ったと言っていました」(前出・芸能関係者)
結果、人気俳優になり、三國に感謝していたという西田。ハマちゃん役に自身が決まり、スーさん役を決めようという際、「三國連太郎さんにお願いしたい」と言ったという。
「昔の事が頭をよぎり、『あの三國連太郎を喜劇に出したい』と指名したんです。『一筋縄ではいかないだろう。でも、それも楽しんで見せる』という強い気持ちでした。
一方、三國さんの方はというと、『農民A』の事はスッカリ忘れていて、西田さんの出演作を観て『一緒に仕事した事はないが、良い役者だな』と認め、共演したいと思っていたそうですよ」(前出・芸能関係者)
とはいえ、『釣りバカ』のコメディータッチの台本を読んで躊躇したという三國。しかし、24歳年下で4人目の妻・友子夫人の「こうだっていう型にハマらず、やってみたらいいじゃない」という声に背中を押され、出演を決める。
「三國さんは元来、奥さんの意見を聞くような人ではありませんでした。入院中に世話をして支えた友子さんと再婚してからは人が変わりましたね。以前の三國さんだったら受けていなかったでしょう」(前出・芸能関係者)
結果、1988年に松竹系にて公開された映画『釣りバカ日誌』は、2009年の『釣りバカ日誌20 ファイナル』をもって完結するまで多くのファンに愛される作品となる。
今回のドラマ『釣りバカ日誌』では、三國の墓のある静岡県松崎町もロケの候補地に挙がっているという。学生時代のあだ名が「ハマちゃん」で、今回の役柄には気合いの入っている濱田岳のハマちゃんと、西田演じるスーさんとのやりとりが、ファンならずとも今から楽しみだ。