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還暦迎える世良公則 デビューが近いサザンを「戦友」と評す

還暦を迎える世良公則がコンサートで熱唱

「還暦ですか? 嬉しくはないし、この歳まで歌い続けることができて満足というのもないし……これといった感慨はないですね。それより──」

 12月で60歳となる世良公則は一度言葉を切ると軽くコブシを握り、ニヤリと笑みを浮かべた。

「アニバーサリー・イヤーということで、今年、シングル『いつものうた』と2枚のアルバム『オトコノウタ』『プレミアムベスト』を出させていただいて。その中で新たに出会ったミュージシャンやマスコミの方の俺を見る目が“あの世良さん”から“この世良さん”に変わったことの方に大きな価値があると思っています」

 あの世良さん……世良公則のスター街道の始まりは1977年のデビュー曲『あんたのバラード』。世良公則&ツイストは、同時期にデビューしたChar、原田真二とともに“ロック御三家”と呼ばれ、それまでアイドルや歌謡曲が全盛だったテレビの音楽番組に大きな風穴を開けた。

「半年遅れてデビューしたサザンオールスターズとは話というか、よく情報交換をしていましたね。ギターの弦はどんなのを使ってるとか、このアンプはどんな音がするのかとか。当時、テレビ番組で生演奏しているロックバンドは、俺らとサザンくらいしかいなかったから。スタジオでも、明らかに浮いていたしね(笑い)。ライバル? というより、戦友のような感じでしたね」

 ロックアーティストとして、初めて『月刊明星』や『月刊平凡』の表紙を飾り、『宿無し』『銃爪』『性』『燃えろいい女』とヒット曲を連発。テレビに映る世良は、いつも自信満々で怖いものなどひとつもないという顔で歌っていた。

「それは違う。当時は怖いものだらけだった。周りの大人も、人気も、音楽業界というシステムも、何もかもが怖かった。前を走っているのは、矢沢永吉さんや宇崎竜童さんといった10歳近く上の人しかいなかった。ロックというだけでチケット販売を断わられ、味方は俺たちの音楽を聴いてくれる若い奴らだけ。ただもう夢中で明日倒れてもいいという覚悟で臨んでいました」

◆世良公則(せら・まさのり):1955年、広島県生まれ。1977年、『あんたのバラード』(世良公則&ツイスト)でデビュー。1978年『銃爪』でオリコンシングル年間1位を獲得。1981年ツイスト解散後はソロでの音楽活動を開始するほか、俳優としても活躍し第10、22回日本アカデミー賞助演男優賞を受賞。アニバーサリー・イヤーとなった今年、ライブで全国を回っている。

取材・文■工藤晋 撮影■アライテツヤ

※週刊ポスト2015年11月6日号

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