ビジネス

葛飾区 伝統工芸職人と町工場コラボで日本独自の万年筆開発

「こらぼ 印伝万年筆」(瓢箪柄 1万584円)

 高級筆記具の代名詞ともいえる万年筆。ドイツのモンブラン、スイスのペリカン、日本ではパイロットやセーラーなど老舗ブランドの製品が世界中で愛されている。

「どれも素晴らしいですが、私たちはもっと日本らしい、日本でしか作れない和の筆記具を作ってみたいと考えたのが、“印伝”に注目したきっかけです」

 そう話すのは、東京・上野桜木の伝統工芸雑貨店「こらぼ」代表の石井俊輔さん。この会社は、元々は広告制作プロダクション。あるきっかけで葛飾区伝統産業職人会の伝統工芸品を海外や日本に紹介するサイトを立ち上げ、職人たちとの交流が深まったことをきっかけに、伝統工芸と町工場をコラボレーションさせた商品を生み出すようになった。

「葛飾には江戸時代から続く伝統工芸の職人さんがたくさんいます。町工場も多く、筆記具関連のパーツを生産しているところもあります。この2つが組めば、葛飾オリジナルの筆記具が作れると確信しました」(石井さん・以下同)

 印伝は、インド伝来の鹿革製品。やわらかい鹿革に模様を色染めしたもので、古くは鎧の胸板や兜の吹き返しなどに使われてきた。その後、漆で染め付ける日本独自の技法が創案され、今に至る。

 葛飾区では、創業80年の「印伝矢部」の伝統工芸士・矢部恵延さんが、印伝を作り続けているが、今までは信玄袋や財布、ベルトなどの革小物として加工されることが多かったという。それが2011年、職人の矢部さんと石井さんのアイディアにより、今までにない印伝の筆記具が誕生した。それが「こらぼ 印伝万年筆」(瓢箪柄 1万584円)だ。

「しなやかな鹿革にのせた漆は、適度な盛り上がりがあるため、グリップのような役割を果たします。また、同じように見える革も天然のものなので個体差があり、金具と革の間に薄紙を入れたり、革の厚みを削ったりして調整が必要なので、すべて手巻き。年間にわずか1000本余りの生産ですが、外国のかたにも人気です」

※女性セブン2015年11月19日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

新恋人のA氏と腕を組み歩く姿
《そういう男性が集まりやすいのか…》安達祐実と新恋人・NHK敏腕Pの手つなぎアツアツデートに見えた「Tシャツがつなぐ元夫との奇妙な縁」
週刊ポスト
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
あとは「ワールドシリーズMVP」(写真/EPA=時事)
大谷翔平、残された唯一の勲章「WシリーズMVP」に立ちはだかるブルージェイズの主砲ゲレーロJr. シュナイダー監督の「申告敬遠」も“意外な難敵”に
週刊ポスト
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン
35万人以上のフォロワーを誇る人気インフルエンサーだった(本人インスタグラムより)
《クリスマスにマリファナキットを配布》フォロワー35万ビキニ美女インフルエンサー(23)は麻薬密売の「首謀者」だった、逃亡の末に友人宅で逮捕
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左/バトル・ニュース提供、右/時事通信フォト)
《激しい損傷》「50メートルくらい遺体を引きずって……」岩手県北上市・温泉旅館の従業員がクマ被害で死亡、猟友会が語る“緊迫の現場”
NEWSポストセブン
財務官僚出身の積極財政派として知られる片山さつき氏(時事通信フォト)
《増税派のラスボスを外し…》積極財政を掲げる高市早苗首相が財務省へ放った「三本の矢」 財務大臣として送り込まれた片山さつき氏は“刺客”
週刊ポスト
WSで遠征観戦を“解禁”した真美子さん
《真美子さんが“遠出解禁”で大ブーイングのトロントへ》大谷翔平が球場で大切にする「リラックスできるルーティン」…アウェーでも愛娘を託せる“絶対的味方”の存在
NEWSポストセブン
ベラルーシ出身で20代のフリーモデル 、ベラ・クラフツォワさんが詐欺グループに拉致され殺害される事件が起きた(Instagramより)
「モデル契約と騙され、臓器を切り取られ…」「遺体に巨額の身代金を要求」タイ渡航のベラルーシ20代女性殺害、偽オファーで巨大詐欺グループの“奴隷”に
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《ビザ取り消し騒動も》イギリス出身の金髪美女インフルエンサー(26)が次に狙うオーストラリアでの“最もクレイジーな乱倫パーティー”
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 維新まで取り込む財務省の巧妙な「高市潰し」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 維新まで取り込む財務省の巧妙な「高市潰し」ほか
NEWSポストセブン