では、本命・青学大の原晋・監督の声かけはどんなものか。これについては、今年の箱根で4年生として8区を走った高橋宗司が「監督は嘘をつく」と冗談混じりに証言している。
昨年5区を走った際、原監督から「(このペースなら)80分切れるぞ!」といわれ、目の色を変えて走ってゴールしたら82分28秒。今年の8区では「区間賞だぞ!」と声をかけられたが、後で確認するとその時点の通過タイムは区間トップではなかった。だが、高橋は声かけに発奮し、実際に8区の区間賞を獲得した。選手の性格やその場の状況を見て、一番モチベーションが上がる言葉を投げる人心掌握術なのだろう。
【プロフィール】西本武司(にしもとたけし):1971年福岡県生まれ。メタボ対策のランニング中に近所を走る箱根ランナーに衝撃を受け、箱根駅伝にハマってしまう。一年中いろんなレースを観戦するうちに、同じような箱根中毒の人々とウェブメディア「EKIDEN News」を立ち上げる。本業はコンテンツプロデューサー。
※週刊ポスト2015年12月18日号