大阪の定番、紅しょうがの天ぷら(手前)とすき焼き(奥)
さらなる“普通ではない店”の第2弾、第3弾は、BGMとギャグ。
「そのときの客の顔ぶれを見て合う雰囲気のジャンルの音楽を流してくれるのも気が利いている。そして、毎晩10時を過ぎる頃になると、ミュージックタイムになってみんなそれに合わせて踊るようにマスターが仕向けるのよ。演歌あり、アイドルの曲あり、ジャズあり。不思議に恥ずかしさなんて全然ないね」(60代、一般企業OB)
「このマスターってね。黙っているとちょっととっつきにくい感じなんですよ。ところがどっこい、えらいひょうきんでねえ。東京じゃわからんけど大阪では絶対にすべらない小ネタのギャグをしょっちゅうかますのよ。ほんま、しょうもないけど、これがかわいいのよ。だから、若いOLさんたちも、そんなマスターに会いたくて、みぞっしー(マスターの姓が溝畑なので)、来たでーなんて言いながら、よう飲みに来てますよ(笑い)」(50代、教育関係)
ここで、先代の元気なころから通っているという60代後半の「関西人とか大阪人と呼ばないでくれ、私は堺人だ」というネクタイ族OBがビシッと決めた。
「マスターもいい。しかし、誉め過ぎ。恵ちゃん(夫人の恵子さん)がいるからこそ、マスターもあの味が出せるんですよ。この二人がいるからみんな来るんでしょ。この店の常連最年長客に75歳の包丁職人さんがいてるんですが、彼もそう言ってますよ」
そんなみんなの盛り上がりに一役買っているのが焼酎ハイボール。
「甘くないうえに酒としての存在感もある。うちの店の雰囲気にはそこがぴったりくるようで、私のギャグ同様に皆さんに受けてます(笑い)」(溝畑さん)