子育てをする親にとって、ひとつの悩みとなりうるのが性教育だ。一体どういうふうに教えてあげればいいのか? 性に興味を持つ子供たちにどう対処すればいいのか? そんな親の悩みに、1979年から1997年まで「子ども110番」の電話相談員を務め、現在“人間と性”教育研究協議会幹事の安達倭雅子さん(78才)が、アドバイスをする。
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性教育は、体と命を大切にする学習です。ところが、肝心の大人が性教育について無知な人が多い。性といえば、アダルトビデオしか思いつかないかたばかりです。
私立の女学校で中学1年生の生徒たちに、月経とは何かという授業をしたんです。そうしたら、生徒から「生理に加えて月経まであるなんて、女は大変だ」という感想をもらいました。しかも1人ではなく何人も。「私に聞きたいこと」という項目では、「何才でバージンを捨てるのがいちばんいいですか?」と書いてありました。
「月経と生理」を混乱していて、バージンをいつ捨てればいいか迷っている──それが今の現実なんです。
私は、中学生や高校生はもちろん、小学生の子供でも性について質問をされたら、決して嘘をつかず、正直に答えたほうがいいと思っています。
例えば、「赤ちゃんは、どうやって生まれるの?」という質問にムニャムニャごまかして答えると、親は子供から信用を失い、性をいやしいものだと勘違いさせてしまいます。
「脳みその指令で男性は勃起を起こして、女性は膣分泌液でペニスを受け入れられる状態になる。すると膣にペニスが入る。射精が起こって、そこにもし卵子があった場合には~」としっかり話せばいいと思います。
また、「お父さんとお母さんが愛し合って生まれた」というのも違うと思います。ただ、愛しただけでは子供が生まれませんから。子供が生まれるのに、愛はあった方がいいけど、愛がなくても妊娠はします。愛とは関係ない。大人ならおわかりですよね? それを伝えればいいんです。
中学生になれば、男女ともセックスできる体になります。「セックスをするな」と止めても、する子はしてしまう。私は、娘が初経を迎えたときに「あなたは排卵があるんだから、子供を産む体なの」と教えたときに避妊具についても話しました。
中絶についても教えてあげるべきだと思います。間違いに気づいたら、いつでもやり直せる。避妊や中絶について、正しい情報を与えてあげる。その情報をどう使うかは、子供次第。親御さんが、それまで子供をどう育てたかの成果でしょう。
※女性セブン2016年2月4日号