同区の担当者は、「宿泊客や周辺住民の安心・安全が担保できないような運営をする事業者には、行政処分や認定の取り消しをする可能性もある」と話す。しかし、ホテル評論家の瀧澤信秋氏は、こんな懸念を口にする。
「仲介をはじめとする民泊の事業者は、24時間従業員が常駐するホテルと違って目が届きにくいため、いざトラブルが起きたときにどこまで迅速に対応できるか疑問です。大きな法人以外は衛生管理や保険の不備も今後の課題となるでしょう。
そもそも、国も文化も違う外国人宿泊者にマンションの細かい管理規約や住民ルールを説明すること自体、容易ではありません」
外国人宿泊者の中には犯罪者が紛れ込んでいる可能性だってある。宿泊者の身元確認など管理が甘くなれば、窃盗や住民との傷害トラブル、さらには「民泊部屋が不法滞在者やテロリストたちの格好の隠れ家になる」(警察関係者)との危険性さえ指摘されているのだ。
大田区では特区法の通達を参考に、外国人宿泊客には対面での本人確認、パスポートの複写、滞在者名簿の3年保存、警察への捜査協力などをガイドラインに盛り込んだが、大小さまざまな事業者の乱立が仇になることも考えられる。
2月中には“公認”の民泊事業者第一号を認定する見込みの大田区。前出の担当者は、「認定条件のハードルは決して低いわけではないので、手軽にできるビジネスではない」と説明するが、すでに100件以上の問い合わせがきているという。
いずれにせよ、羽田空港を擁し、外国人も多い大田区の民泊制度が根付くかどうかによって、今後の規制緩和の行方が大きく変わってくるのは間違いない。