安東さんに指摘され、子供につらく当たりすぎてきたことへの反省もし、虐待という言葉から目をそらすことなく、受け止めた。撮影がない日や安東さんがいない日も、Iさんは率先して片づけを続けていた。
すべての作業が終わった後、Iさん夫婦はもちろん、子供たちが誰の目から見ても生き生きとしてきたという。Iさん一家は、汚屋敷の片づけを自分たちの手で成し遂げたことで、人生の再スタートを切ることができたのだ。
過去に安東さんが片づけを手掛けた汚屋敷育ちの子供は、きれいになった自室で机に向かうのが習慣になり、初めて「本当は大学に行きたかった」と夢を語り始めたという。自分の人生を投げていたこの子供は、未来に目を向けられるようになったのだ。
「私のところに片づけを依頼してくる人は、現状をなんとかしたいと前を向いている人。家がきれいになることは家族再生のきっかけとなります。家族関係がよくなるのはもちろんですが、とくに子供の変化には目を見張るものがあります。表情が明るくなり、積極性が生まれる様子がよくわかります」(安東さん)
人を招くことができる家になると、人づきあいや出会う人だって変わってくる。けっして大げさではなく、部屋を片づけることで、一家の人生そのものが、大きく前へと進み始めるのだ。
※女性セブン2016年2月18日号