この色分けはみずほフィナンシャルグループのテレビCMにも見て取れる。3人の男性俳優が出演し、それぞれ「みずほ銀行」「みずほ信託銀行」「みずほ証券」を象徴しているのだが、「裏の見方をすれば『旧興銀』『旧富士銀』『旧第一勧銀』をそれぞれ象徴しているともいえる」(森岡氏)というのだから興味深い。
三菱東京UFJと三井住友に関しても出身銀行によるカラーの違いは鮮明だ。
「三菱は、非常に保守的、官僚的で総論が得意。対してUFJはゲリラ的。だから、事業戦略の立案など銀行業務の中枢は三菱出身が強く、リテール(個人部門)の現場はUFJ出身が担うという役割分担がわりと明確にある。
三井住友でいえば、三井系は学者っぽい雰囲気で、お公家的で上品な喋り方をする人が多い。対する住友系は、三井系に比べて現場の実行力が高く、傷つくことを恐れない突貫小僧的なところがある。投資案件の危機管理能力が高いのも住友系だ」(森岡氏)
合併すればその分、社内のポストは減って出世競争は激化し、さまざまな主導権争いが繰り広げられる。そうした日本的な社風がもっとも象徴的に表れるのが銀行なのかもしれない。
※SAPIO2016年3月号