「育成のコツは、厳しさと温かさ。当社の企業理念に入っている言葉です。そのため、昔気質の背中を見て……ではなく、職人として厳しく指導しながらもフォローを忘れないよう職人育成をしています」(前出・柳澤氏)
忙しい店舗でトレーニング専門の時間をとることは難しいが、現場で動きながら店長が若手の指導をしている。しかし、何よりもトレーニングとなっているのは、日々の現場作業だ。多くの客が訪れ、大量消費がされる回転寿司店だけに1日にさばく魚の量は膨大である。
「繁盛店では1日1000人のお客様が来店します。その場合、土日なら1.5㎏の真鯛を12~15本は使います。もちろん、ほかの魚もさばくので、毎日の営業そのものが人を育て、職人の技術力を伸ばしています」(前出・柳澤氏)
技術を育てながら、「がってん寿司」らしい“元気・笑顔・活気”な接客のスタンダードも徹底的に伝えていく。
「お客様が喜ぶのは板場でのパフォーマンスですが、いきなりはできません。まず、店長がやり方を示す場合がほとんどです」(前出・柳澤氏)
※週刊ポスト2016年4月15日号