建設中の北京の新空港と人民日報ビル
いま、中国のネットはとある「大問題」で大揺れだ。現地の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏が報告する。
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いまだ航空機の離発着数が拡大を続ける中国の首都北京で、市内で二番目となる国際空港の建設が進められている。経済が曲がり角を迎えたとはいえ、いまだ中国が世界経済のなかで大きなポジションを占めていることを象徴する可能な出来事で、中国人のプライドを満たしてくれる話である。
ところがいま中国では、この2019年完成予定の新空港建設をめぐってネット市民を中心に侃々諤々の議論が巻き起こっているというのだ。
原因は、なにか。それは斬新過ぎる設計にあった。
「形が卑猥だとして強い批判の的になっているのです」
と語るのは北京の夕刊紙記者だ。
「新しい空港の設計は曲線を多用した個性的な建築物であると以前から評判でしたが、完成予想図が公表され、それを上からとらえた図を人々が目にすると、たちまちネットで大きな話題となったのです。理由は、『女性器にしか見えない』というとんでもないものでした」
実際、角度によっては見えなくもないといった程度だが、この話はたちまち建設中の人民日報のビルの問題と相まって拡大していったという。
「人民日報のビルは外壁に金が多用されたことで、人々から批判の的になっていたのですが、この空港の建設に絡んで新たな批判が持ち上がったのです。それは見る角度によって男性器に見えるというものでした。そして、人民日報と空港はそれぞれ男性器と女性器を模して造られているという妙な噂になって広がっていったのです」
19日付の香港『東方日報』もこの問題を取り上げている。
興味深いのは、第二の国際空港の設計を請け負っていたのが、日本の新国立競技場で話題の中心となったザハ・ハディット氏であったということだ。
ネットのなかには「中国の官僚の女好きが反映された建築物」や「中国の風水が“性”によって破壊された」といった書き込みも多くでているという。