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「人の三井」 優秀な人材を躊躇せず外から抜擢し成長

「人の三井」は優秀な人材を躊躇せず抜擢

 日本経済の中で今も突出した存在感を見せている三井グループ。1673年の創業から300年以上の歴史を持つ三井家は、創始者・三井高利の子が11もの家をなした。

 その顔触れは実に多彩だ。大同生命保険の創業や日本女子大学校の設立に尽力し、NHK朝の連続ドラマ『あさが来た』のヒロインのモデルとなった広岡浅子は三井11家のひとつ、小石川家の令嬢。三井家は現在ではトヨタ自動車の豊田家や朝日新聞の村山家ともつながる。本家は12代当主になるが、職業は建築家でグループ経営に携わることはない。

 そもそも三井は、戦前から一族ではなく「プロ経営者」を抜擢する経営方法を取ってきたと、『日本の15大財閥』(平凡社新書)著者の菊地浩之氏が指摘する。

「製造業中心の三菱、住友と違い、金融や商業中心だった三井はチームプレーより個人プレーを重視した。優秀な人材を躊躇せず抜擢したことが“人の三井”の背景にありました」

 その象徴が、戦前に三井合名の初代理事長となった團琢磨だ。團琢磨は三井家出身ではないが、プロ経営者として財閥を率いる存在となった。團琢磨を高祖父に持つ女優の團遥香は、「團琢磨が残した家訓は、“子孫は同じ職業に就くな”でした。職業に専門性がないほうが我が家では恥」という。

※週刊ポスト2016年5月6・13日号

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