ベラルーシでは、年間5ミリシーベルト以上の地域は強制移住地域にしてきた。1~5ミリシーベルトの間は移住を希望すれば安全な地域に家をもらえる。それでも、移住を拒否し、住み慣れた町に残る人がいた。
その人たちは、外部被ばくのリスクが高い。その代わり、内部被ばくを可能な限り低くするため、食糧の放射線測定を徹底し、ホールボディカウンターで検査もしてきた。最後に、日本の人たちにメッセージをお願いした。
「検診、放射能の見える化、保養をすること。そして、できるだけのことをしたら不安をもたないことが大事だ」
原発事故を起こしたら後世まで影響は続く。30年かけてここまで来たベラルーシは、これから先もやるべきことを続けていくだろう。現実を直視するその覚悟は、ぼくたち日本人も学ぶべきだと思う。
チェルノブイリと福島で人生が変わる悲劇や絶望をたくさん見てきた。世界中でこれ以上、原発事故を起こさせてはいけない。
●かまた・みのる/1948年生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、長野県の諏訪中央病院に赴任。現在同名誉院長。チェルノブイリの子供たちや福島原発事故被災者たちへの医療支援などにも取り組んでいる。近著に、『「イスラム国」よ』『死を受けとめる練習』。
※週刊ポスト2016年5月27日号