お金が、まるで向こうからやってくるような成功者たちは、心理学を駆使していることが多い。
2006年、カナダのカールトン大学のローレイン・ダイク博士(心理学者)が様々な事業で成功した男女40人にアンケートを実施。「あなたの成功の理由は?」という質問の回答としてもっとも多かったのが、「人間関係」だった。心理学者の内藤誼人氏が解説する。
「この調査結果からわかるのは、『人間関係』をうまくコントロールすれば、どんな業種だろうと成功者になれるということです。会社内で自分に有利な人間関係を構築できれば、出世も近付きます。高みに上る人は、必ず有能な部下に恵まれ、彼らに自分を押し上げてもらっている。そのために心理学は非常に有用です」
お金を持つ人は、自分を高みに上げる術を知っている。例えば、自分に少しでも自慢できるスキルや人脈があれば、それを活用するのも手だ。
「私は帰国子女です」や「スポーツで全国大会に行きました」などを、嫌味ではない範囲で触れることで、「この人は仕事ができそうだ」、「魅力的だ」などと相手に思わせることができる。
これは心理学では「ポジティブ・ハロー効果」という。ある対象を評価する時に目立っている特徴に引きずられ、他の特性が歪んで評価される。実際の能力以上に、評価をしてもらえることもある。
※週刊ポスト2016年7月1日号