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参院選前に日本国憲法を付録につけた『スピリッツ』の狙い

「スピリッツ」に憲法の付録

「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)が、明日7月4日発売号で日本国憲法全文を載せた小冊子を付録につける。参院選を前に憲法への国民意識が高まるなか、青年漫画週刊誌のこの試みは注目を集めている。その狙いと内容を紹介しよう。

 * * *
 付録の小冊子は「OurBook」と名付けられ、水色の富士山と太陽を模したポップな表紙が可愛らしい。憲法の条文と同誌に連載を持つ漫画家たちのイラストが交互に展開する構成で、全部で44ページあり、本誌から取り外しが可能になっている。また本誌にも付録に連動した特集記事のページもある。

 この企画の意図について同誌担当編集者の生川遥さんはこう語る。

「まず『漫画はコミックスで読むもの』という最近の風潮が前提にあります。そこで雑誌の存在意義を提供するために特集主義を打ち立てることになり、その第1弾として、日本国憲法をテーマにすることを考えました」

「日本国憲法を選んだのは、やはり参院選の前というタイミングです。憲法は私たち全員の暮らしにかかわることなのに、意外と内容が知られていないのではないか、全ての条文を読んだことがある人は少ないのではないか、という問題意識がありました。改憲とか護憲の前に、まず憲法を知って貰う。そのために読みやすく小冊子にして、いつでも持ち歩いて貰えるように取り外しができるようにしました」

 日本国憲法全文を紹介した書籍としては、同社が1982年に出版して今も売れている「日本国憲法」がある。条文と写真を交互に載せる構成で100万部近いロング・ベストセラーになった。今回の小冊子では「スピリッツ」誌に連載を持つ13人の漫画家がイラストを描き下ろしたのが特色だ。

「今回の企画は、『まずは一度憲法を読んでみませんか?』という問いかけをすることが目的であり、改憲・護憲といった、政治的な偏りが生じないように注意しました。連載作家さんにご依頼するイラストのテーマを決定する際にもその点に配慮し、『憲法=今現在、日本に生活するすべての人たちに関わるもの』という意味から、『2016年の日本の風景に存在するキャラクターたちを描いてください』とお願いしました」

 当初は編集部の依頼に戸惑った漫画家もいたそうだが、企画意図を丁寧に説明することで最終的に各漫画家の独自の視点によるイラストが上がってきたという。「おかゆネコ」を連載する吉田戦車さんは、ツイッターでも「来週のスピリッツは憲法の特集」と自ら告知した。

「憲法の全文を読んだことはないのですが、大学生と小学生の子どもがいる今、当然ですが政治は他人事ではありません。勉強します」(吉田さん)

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