つまり、政治が利用者のほうを向こうとしないのだ。間接民主主義が機能していないといってもいい。ならばいっそのこと、国民投票で直接、民意を示し、需要と供給で値段を決める仕組みを考えたっていい。
奇しくも既得権まみれの市場に風穴を開けそうな、世界を席巻するライドシェア(相乗り)最大手のウーバーテクノロジーズが日本に上陸した。
今のところ、ウーバーの参入には地元のタクシーやバス事業者らで構成する会議体の同意が必要とされ、既得権益者が“拒否権”を持つ参入障壁の高さは相変わらずだ。しかし、世界の流れを見ても、役所の胸三寸で料金を決める制度は時代遅れである。
「英国民の判断は世界経済に混乱をもたらした」と批判する人がいる。しかし、そうした批判は「国民はバカだ」というエリート主義の“上から目線”にしか思えない。重要な問題ほど、国民投票による判断を尊重するのが当然ではないか。
※週刊ポスト2016年8月5日号