国内

長谷川幸洋氏「タクシー料金を役所が決める仕組みはやめよ」

東京新聞論説副主幹の長谷川幸洋氏

 イギリスのEU離脱で改めて注目された「国民投票」という手段。国論を二分するテーマについて、国民の意見を直接反映させるという方法に好感を抱いた人もいるだろう。一部の既得権者の専横や不合理な慣習のために変革が進まないテーマについては、日本でもこの最終手段で決着をつけたほうが、世の中スッキリするはずだ。東京新聞論説副主幹の長谷川幸洋氏は、タクシー料金の決め方について国民投票の必要性を訴える。

 * * *
 日本のタクシー料金は、とても歪なやり方で決められている。本来、モノやサービスの値段は、供給が少なく、需要が多ければ上がる。逆にお客にあまり必要とされず、供給ばかり多ければ値段は下がる。当たり前のことだ。

 ところがタクシー料金については、霞が関の役人が料金の下限を決めており、価格競争を促すはずの新規参入も規制で制限されている。2002年に当時の小泉政権が規制緩和に踏み切り、いったんは新規参入が増えて競争が進んだが、その後、タクシー業界は「運転手の給料減や事故増加を招く」と永田町や霞が関に猛烈なロビー活動を展開した。

 結果、揺り戻しで規制強化が進み、2014年に改正タクシー特別措置法が施行された。これにより大都市での運賃の引き上げが事実上義務付けられた。大阪で話題だった初乗り500円の「ワンコインタクシー」など格安業者も値上げを迫られたのである。

 なぜそんなことになるのか。それは政治家がタクシー業界の利益を代弁する見返りに、票をもらう構造があるからだ。地場のタクシー経営者の支持を受ける自民党と、労組の支持を受けて規制緩和に反対する民進党とが、現状維持で手を結び、その結果、日本のタクシー運賃は高止まりしてきた。内外価格差調査(消費者庁調べ)によれば米国やフランスより4割も高い。

関連キーワード

トピックス

警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン