日本人の平均寿命は男性79歳、女性86歳。世界に類を見ない長寿大国になったとはいえ、誰もがその年齢まで元気で過ごせるわけではない。近年、国内外における大規模疫学調査などにより、一見、健康とは関係のなさそうなことも「寿命」に影響することがわかってきた。以下のケースで、どちらが長生きできるか比べてみよう。
◆「自分の娘」と「息子の嫁」。どちらに介護してもらうと男性は長生き?
「息子の嫁」。女性は逆に「息子の嫁」が最も短命になるとわかった。死亡率が低い順に並べると、女性は「夫」「娘」「息子の嫁」であるのに対し、男性は「息子の嫁」「娘」「妻」の順になった。
男性と女性ではまったく逆の結果になった。女性は「息子の嫁」と家事の主導権などを争うケースが多く、介護される側になるとストレスを感じる一方、男性は「息子の嫁」と日常から良好な関係を維持しやすいため、介護されると元気になると推察できる。
※日本人の男女191人を6年間追跡したイェール大学の西晃弘・博士研究員の調査をもとに順位づけた。
◆「リベラル」と「保守」。 長生きするのはどっち?
米ネバダ大などが約3万3000人を対象に死亡と政治思想の関係を調査した結果、保守派、中道派は年齢、性別、社会的・経済的地位が同じリベラル派より死亡率が6%高かった。ただし、共和党や民主党など支持政党による死亡率の違いはなかった。
◆「老人会の役員」になると寿命は 縮むか延びるか?
老人会などに「役職つきの立場」で所属する人(会長、会計係など)は、「ヒラ」より死亡リスクが12%減少していた。
調査前は役職ありのほうが面倒な仕事によるストレスが高く、死亡率が高くなると予想されたが、逆の結果になったのは、役職が与える自尊心や生きがいがポジティブな効果をもたらすからと考えられる。
※自治会などに参加する65歳以上の男女約1万人を5年間追跡した石川善樹氏らの調査による
※SAPIO2016年9月号