JAグループは弱体化しつつある(奥野長衛・JA全中会長) 共同通信社
「農家の経営にとって一番重要なのはコスト削減です。肥料は3割安くなりましたが、農機具や部品は組織の力が強く、メーカーに50台一括発注してもなかなか値段が下がらない。農薬も明治以来の代理店制度が張り巡らされていて直接仕入れが難しい。健全な競争が阻害されていると感じる」
一方のJA全農広報部では「JA越前たけふについてはコメントを控えたい」というのが公式見解。現在、JA越前たけふに続こうという動きが地域農協の間で活発化し、農産物の直販が増えている。「中央離れ」が広がることにナーバスになっていることがうかがえるが、全農関係者はこう主張する。
「地域農協の9割は農業事業が赤字でそれを金融部門などの黒字で補っているのが現実。いまは越前たけふなど一部の農協だけが自主販売しているから黒字になっているが、他の農協にも広がれば価格競争でいずれ経営が苦しくなる。農家と農業を守るためには全国的な組織力が必要。地域農協の自主路線は将来的に自分たちのクビを絞めることになるのをわかっていない」
針路が真っ向から対立しているのだ。
※SAPIO2016年9月号