我孫子駅やよい軒の「唐揚げそば」
そうした中、一人気を吐いているのがJR常磐線の我孫子駅で営業している「弥生軒」だ。同店は巨大な唐揚げが2つ入った唐揚げそばが名物で、鉄道ファンの間では誰もが知っている有名店。
同店は、プラットホームで営業をしているので改札を出る必要はない。そのため、わざわざ電車をいったん降りて、弥生軒に立ち寄るファンもいる。また、逆に弥生軒の唐揚げそばを食べるためだけに入場券を買っているファンもいるほどだ。
弥生軒のような奮闘している個性派駅そば店は減少の一途をたどっているが、鉄道会社系列のそば店だからといって、すべての店が画一的で無難な味になっているわけではない。なかには挑戦的な勝負商品を世に送り出そうと、試行錯誤している店もある。それが、関西を拠点にしている阪急阪神レストランズが運営する「阪急そば」だ。
阪急そばは、その名が示すように関西の大手私鉄・阪急電鉄の系列店。だから、チェーン店にありがちな平凡な味・メニューと思い込んでしまうが、阪急そばは今年の夏限定メニューとして”かき氷そば・うどん”を新登場させている。
それ以前にも、阪急そばは揚げたてのフライドポテトをそばにのせた”ポテざるそば・うどん”の提供を始めており、斬新なメニューで勝負する駅そば店として鉄道マニアやそばマニアの間では知られる存在だった。
阪急そばが、斬新すぎるメニューで勝負する狙いは何だろうか?
「十三駅構内の阪急そばは、1967(昭和42)年に関西私鉄では初めて駅構内に出店した駅そば店です。長らく利用者から愛されてきましたが、近年は立ち食いというスタイルが時代にそぐわなくなり、客足が鈍っていました。そこで、一昨年に女性でも入りやすいような店舗にリニューアルしました。これまでは完全な立ち食い形式でしたが、リニューアル後は座席とテーブルを配置し、座って飲食が楽しめるように改めました。
また、以前は食券形式でしたが、これも食後にレジで精算するスタイルに改めています。新メニューの開発は、そうしたリニューアルの一環です。女性をはじめ、幅広い利用者を取り込もうと考えたものです」(阪急阪神レストランズ営業企画部)