国内

女性の社会進出が強く叫ばれたのはウーマンリブ時代ではない

評論家の呉智英氏

 防衛大臣に稲田朋美氏が就任した。女性の防衛大臣は小池百合子氏(現・東京都知事)に続いて2人目である。評論家の呉智英氏が女性の社会進出について解説する。

 * * *
 八月四日付朝日新聞「朝日川柳」欄の第一句にクスッと笑った。

 女性なら戦せぬとは限らない 千葉県 村上健

 前日、安倍第二次改造内閣の防衛大臣に稲田朋美氏が就任したことを諷刺したものである。

 クスッと笑ったのは、この句が割りと出来がよかったからだけではなく、朝日新聞に代表される革新派・リベラル派の従来の論調を諷刺することにもなっているからである。作者がそこまで意図していたかどうかは知らないが。

 この種の革新派・リベラル派が好む女流歌人与謝野晶子に、こんな一首がある。

 女より智慧ありといふ男達
 この戦ひを歇めぬ賢こさ

 ここに詠まれた「戦ひ」とは、作歌時期から見て第一次世界大戦のことだろう。日本も対独宣戦し、支那の青島に軍を進めている。男たちは常日頃、男は女より智慧があると言っているが、戦争を止めることさえ出来ないではないか、という皮肉である。有名な「君死にたまふことなかれ」と同系の反戦歌ということになろうか。

 反戦思想はそれでいいとして、この晶子の歌には、女こそが反戦平和の担い手であるという思考がある。情緒論としてはそれもありうるし、詩歌が情緒論の上に成立するものであれば、それも当然かもしれない。しかし、政治論、社会論として考えれば、この種の思考はたちの悪い迷信のようなものだろう。女が反戦で男が好戦だなんて、何の根拠もなく、こういう迷信が女の社会進出を妨げてさえいる。女性防衛大臣は、一人目が小池百合子氏(現・東京都知事)、稲田氏でやっと二人目なのだ。

関連記事

トピックス

被害男性は生前、社長と揉めていたという
【青森県七戸町死体遺棄事件】近隣住民が見ていた被害者男性が乗る“トラックの謎” 逮捕の社長は「赤いチェイサーに日本刀」
NEWSポストセブン
体調を見極めながらの公務へのお出ましだという(4月、東京・清瀬市。写真/JMPA)
体調不調が長引く紀子さま、宮内庁病院は「1500万円分の薬」を購入 “皇室のかかりつけ医”に炎症性腸疾患のスペシャリストが着任
女性セブン
学習院初等科時代から山本さん(右)と共にチェロを演奏され来た(写真は2017年4月、東京・豊島区。写真/JMPA)
愛子さま、早逝の親友チェリストの「追悼コンサート」をご鑑賞 ステージには木村拓哉の長女Cocomiの姿
女性セブン
1980年にフジテレビに入社した山村美智さんが新人時代を振り返る
元フジテレビ・山村美智さんが振り返る新人アナウンサー社員時代 「雨」と「飴」の発音で苦労、同期には黒岩祐治・神奈川県知事も
週刊ポスト
被害者の平澤俊乃さん、和久井学容疑者
《新宿タワマン刺殺》「シャンパン連発」上野のキャバクラで働いた被害女性、殺害の1か月前にSNSで意味深発言「今まで男もお金も私を幸せにしなかった」
NEWSポストセブン
【視聴率『愛の不時着』超え】韓国で大ヒット『涙の女王』 余命宣告、記憶喪失、復讐など“韓国ドラマの王道”のオンパレード、 華やかな衣装にも注目
【視聴率『愛の不時着』超え】韓国で大ヒット『涙の女王』 余命宣告、記憶喪失、復讐など“韓国ドラマの王道”のオンパレード、 華やかな衣装にも注目
女性セブン
公式X(旧Twitter)アカウントを開設した氷川きよし(インスタグラムより)
《再始動》事務所独立の氷川きよしが公式Xアカウントを開設 芸名は継続の裏で手放した「過去」
NEWSポストセブン
NHK次期エースの林田アナ。離婚していたことがわかった
《NHK林田アナの離婚真相》「1泊2980円のネカフェに寝泊まり」元旦那のあだ名は「社長」理想とはかけ離れた夫婦生活「同僚の言葉に涙」
NEWSポストセブン
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
女性セブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン
林田理沙アナ。離婚していたことがわかった(NHK公式HPより)
「ホテルやネカフェを転々」NHK・林田理沙アナ、一般男性と離婚していた「局内でも心配の声あがる」
NEWSポストセブン
タイトルを狙うライバルたちが続々登場(共同通信社)
藤井聡太八冠に闘志を燃やす同世代棋士たちの包囲網 「大泣きさせた因縁の同級生」「宣戦布告した最年少プロ棋士」…“逆襲”に沸く将棋界
女性セブン