空気中の乾燥度に応じて、ゆるやかに潤いを与える、自然気化式のエコ加湿器が増えている。なかでも、日本らしい香りとフォルムで注目されているのが、「エコ加湿器マスト」(M:縦5×横20×高さ15.5cm、7560円)だ。
作っているのは、日本一の“木枡”の産地・岐阜県大垣市で枡の製造・販売を行う「大橋量器」だ。営業担当の清水和紀子さんは、こう話す。
「枡を製作する場合、その工程でどうしても大量のかんなくずが出てきます。これまでは焼却処分にしていましたが、何か商品に応用できないかと考え、外部のデザイナーと共同で商品開発を始めました」
注目したのは、ひのきの特性である豊かな香りや吸水性。そして、風呂やまな板など水に触れる場所で使用されることの多いひのきは、抗菌作用と耐水性にも優れていることから、これらの利点を生かすことができる「エコ加湿器」を思いついたという。
「涼しげなヨットをモチーフにすることはすぐ決まりました。ですが、セイル部分をいかに機能的に、かつ美しくするかが難しくて何度も試作を繰り返し、3枚のかんなくずを重ねて糸で束ねたセイルに辿り着きました」(清水さん、以下「」内同)
ボート部分には枡作りの技法を採用。使用する際に、甲板にあたる上蓋を開けて水を入れ、スリット部分に差し込んだセイルで水を吸い上げる仕組みが完成。風があたるとひのきの清々しい香りが広がり、乾いた空気中に潤いが与えられるようになった。
「ボート部分は食器用ウレタン塗装をしており、定期的に食器用洗剤で洗えるので、カビなどの発生を予防できます。ひのきのセイルは、長時間使っていると中心部分が変色してきますが、交換用セイル(864円)もありますよ」
建築材などの端材で作る“枡”と、かんなくずを組み合わせたエコ道具。電気不要で、熱も発しないため置く場所が限定されないのも魅力だ。
※女性セブン2016年9月15日号