国内

火葬場不足で新ビジネス 一時的に預かる「遺体ホテル」

火葬場不足で新ビジネスも登場

 団塊世代が全員75歳以上になる2025年には年間の死亡者数(65歳以上)が140万人を超えるとみられている。「多死社会」の到来で、亡くなってもすぐに葬儀・火葬・埋葬ができない“葬儀難民”も社会問題化することが懸念されている。

 最大の懸案が火葬場の数だ。1988年には全国に1900以上あった火葬場が、現在は1500ほどまで減っている。火葬や葬儀に関する調査を行なっている一般社団法人火葬研代表理事・武田至氏は将来への危惧をこう口にする。

「2025年の火葬場不足は深刻なものとなる可能性があります。とくに東京近郊など都心部を中心に各自治体が火葬能力の向上を図るなどの対応に動き始めていますが、火葬場の新設に関しては施設の性格上周辺住民から“住宅街の近くには作るな”という反対運動なども多く、なかなかスムーズに行なえていないのが実情です」

 すでに火葬場不足を“チャンス”とみた新ビジネスまで生まれている。一時的に亡骸を預かる「遺体ホテル」だ。大阪府で遺体ホテルを経営するリレーション代表・栗栖喜寛氏は、その需要についてこう話す。

「首都圏ですと現在でも場合によっては1週間待ちという状況も出てきています。『病院で亡くなったけれど、すぐに遺体を引き取ってくれといわれ、連れて行く先がなくて困っている』といったお問い合わせが増えています」

 運よく火葬までたどり着けたとしても、埋葬場所が見つからない場合もある。すでに東京都では、わずか8か所しかない都立霊園の倍率は20~30倍になっている。

 日本人が当たり前と考えてきた「普通の死に方」ができなくなる。これらはすべてわずか9年後に現実となる事態なのだ。

※週刊ポスト2016年9月16・23日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン
愛子さま、初の単独公務は『源氏物語』の特別展 「造詣が深く鋭い質問もありドキっとしました」と担当者も驚き
愛子さま、初の単独公務は『源氏物語』の特別展 「造詣が深く鋭い質問もありドキっとしました」と担当者も驚き
女性セブン
“くわまん”こと桑野信義さん
《大腸がん闘病の桑野信義》「なんでケツの穴を他人に診せなきゃいけないんだ!」戻れぬ3年前の後悔「もっと生きたい」
NEWSポストセブン
中森明菜
中森明菜、6年半の沈黙を破るファンイベントは「1公演7万8430円」 会場として有力視されるジャズクラブは近藤真彦と因縁
女性セブン
食品偽装が告発された周富輝氏
『料理の鉄人』で名を馳せた中華料理店で10年以上にわたる食品偽装が発覚「蟹の玉子」には鶏卵を使い「うづらの挽肉」は豚肉を代用……元従業員が告発した調理場の実態
NEWSポストセブン
報道陣の問いかけには無言を貫いた水原被告(時事通信フォト)
《2021年に悪事が集中》水原一平「大谷翔平が大幅昇給したタイミングで“闇堕ち”」の新疑惑 エンゼルス入団当初から狙っていた「相棒のドル箱口座」
NEWSポストセブン
昨年9月にはマスクを外した素顔を公開
【恩讐を越えて…】KEIKO、裏切りを重ねた元夫・小室哲哉にラジオで突然の“ラブコール” globe再始動に膨らむ期待
女性セブン
稽古まわし姿で土俵に上がる宮城野親方(時事通信フォト)
尾車親方の“電撃退職”で“元横綱・白鵬”宮城野親方の早期復帰が浮上 稽古まわし姿で土俵に立ち続けるその心中は
週刊ポスト
大谷翔平の妻・真美子さんの役目とは
《大谷翔平の巨額通帳管理》重大任務が託されるのは真美子夫人か 日本人メジャーリーガーでは“妻が管理”のケースが多数
女性セブン
17歳差婚を発表した高橋(左、共同通信)と飯豊(右、本人instagramより)
《17歳差婚の決め手》高橋一生「浪費癖ある母親」「複雑な家庭環境」乗り越え惹かれた飯豊まりえの「自分軸の生き方」
NEWSポストセブン
店を出て染谷と話し込む山崎
【映画『陰陽師0』打ち上げ】山崎賢人、染谷将太、奈緒らが西麻布の韓国料理店に集結 染谷の妻・菊地凛子も同席
女性セブン
殺人未遂の現行犯で逮捕された和久井学容疑者
【新宿タワマン刺殺】ストーカー・和久井学容疑者は 25歳被害女性の「ライブ配信」を監視していたのか
週刊ポスト