「カップヌードルビッグ “謎肉祭”肉盛りペッパーしょうゆ」を食べてみた。
蓋を開けると謎肉が麺の上に埋まっている。食べると口の中が謎肉でいっぱいになった。カップラーメンでは体験したことがない食感である。ただそのせいか、関西出身で53歳の私の舌には若干しょっぱく感じられた。「バランスが悪いんじゃ無いの?」と思った瞬間、広報氏の「バカを体現」という言葉を思いだし、ちょっと笑う。
「謎肉」は45年前、1971年9月18日の発売から、ネギ、玉子、エビとともにカップラーメンの具材として入っている。創業者の故・安藤百福氏がいろいろ具材を試していった結果、彩りのバランス(緑、黄色、赤、茶)と蓋を開けたときの華やかさから採用を決めたという。
1971年といえば、中華人民共和国が国連に加盟し、「仮面ライダー」の放映が始まり、尾崎紀世彦の「また会う日まで」がヒットした年である。「カップラーメン」の人気に火が付いたのは、1972年2月に起きた「あさま山荘事件」で、取り囲んだ機動隊が食べているシーンがテレビで流れたから、という説がある。
私個人でいえば、小学校から帰ってきたときに共働きの両親がテーブルに残して行ってくれたものが、カップラーメンだった。買うと付いてくるプラスチックのフォークで麺をスパゲティのように絡めて口に入れ、スープの下に沈んでいた「謎肉」をひとつも残さずすくって食べた。それから草野球に走り出す。
私と同世代の方は率直に言って、カップヌードルを食べることは滅多にないと思う。久しぶりのカップヌードルは「お肉こんなに要らないよな」という苦笑とちょっとしたノスタルジーをもたらしてくれた。
日清さんのお客様相談室には、発売直後から「どこで買えるのか」という問い合わせと同時に、「面白い商品ありがとう」という賛辞の声が寄せられていたという。今回の大人気の理由は人気具材の大サービスだけでなく、やはり企画の面白さに消費者が反応したことだろう。日清さんにすれば「嬉しい誤算」と喜んでいられないだろうが、大企業の振り切ったバカ企画が消費者に大受けというのは、なんと愉快な出来事だろうか。