カープの25年ぶりの優勝に沸く広島だが、教育レベルにも“絶対の自信”を持つ。そんな県民は地元の広島大学(通称・ヒロダイ)を崇拝する。
「広島で広大は圧倒的なエリートです。地元民からは、東大・京大の次は広大という羨望の眼差しを浴びます。広大に入ることが最大の親孝行です」(『広島人あるある』著者でノンフィクションライターの幸部辰哉氏)
アンガールズの田中卓志は広島大学工学部卒。東京では、すっかり“気持ち悪いキャラ”のイメージが定着したが、広島に帰るとまだまだ人気者で尊敬されているという。2010年には、フロッピーディスク改ざんで逮捕された広大卒の大阪地検特捜部主任検事(当時)が夕刊紙に「三流大卒」と書かれ、県民は衝撃を受けた。都内の銀行に勤務する20代男性がいう。
「同期入社の男が、初対面で『オレは広大だ』と自慢してきたので意味がわからず、『え、どこ?』と聞き返したら愕然としていた」
ここまで“中華思想”を持てるのは、歴史に誇りを持っているからだ。関ケ原の合戦で毛利元就の孫が勝利していれば歴史は変わっていたと考えている広島県民は多いと幸部氏が指摘する。
「歴史のアヤ次第では、広島が日本の中心だったかもという思いは根強い」
広島県出身のフリーアナウンサー・山中秀樹氏も指摘する。
「広島のローカル局では『元就。』というバラエティ番組が人気です。サンフレッチェ広島のチーム名の由来も『三本の矢』ですし、毛利元就は永遠のヒーロー」
尾道や竹原、三次など、広島には風光明媚な名所が多い。映画のロケや漫画の舞台となったことを他県民に自慢するのも特徴だ。岡山県在住の50代男性が不満顔で語る。
「広島出身の人は、『~~は映画の聖地じゃけん』などと自慢げに語りますが、実際に自分で行ったことはないんです。知ったかぶりが多い。『ヒカルの碁』という漫画が流行った時も、登場する囲碁の名人・本因坊秀策が広島の偉人だと知ったとたんに県外の人に言いふらしてた」
※週刊ポスト2016年9月30日号