元参議院議員の筆坂秀世氏
上杉:赤旗は購読料を値上げしましたが、これ以上の値上げは無理ですね。
筆坂:だろうね。
上杉:となると、切羽詰まった共産党はついに政党助成金をもらうかも。
筆坂:そういう時期が来るかもしれません。少なくとも日刊紙は出せば出すほど赤字だろうから、いずれ廃止して日曜版だけになる可能性が高いでしょう。
上杉:財政面だけではなく、機関紙である赤旗には当然、党の広報・宣伝機関という面もありますね。
筆坂:そうです。党大会前には大会決議案が赤旗紙面を通じて全党員に示される。昔は細かい字でビッシリと10頁ほど書かれていて、読むのが実に大変でした。
上杉:まさに「ザ・機関紙」。でも最近はそんな見かけませんよ。(赤旗を開いて)本当、普通にいい新聞じゃない。購読しようかな(笑)。
筆坂:ただ、党員たちにとって赤旗はまだまだ特別。赤旗は読者への情報発信とは異なる裏の顔を持つ。
たとえば、この夏の参院選の結果について、赤旗(7月12日)に中央委員会常任幹部会の論評が掲載されました。地区委員は「どこがポイントか」を考えながら読んでボールペンで記事に赤線を引き、理解した内容を一般党員に伝える。この作業を通して、党の公式見解を浸透させるんです。だから、党員たちに聞くと、「このあいだの参院選は大成功を収めた」といった答えが一様に返ってくる。
●うえすぎ・たかし/1968年東京都出身。鳩山邦夫氏の衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者を経て、2002年よりフリージャーナリストとして活動。政界、メディア問題、原発問題など、多岐に亘るテーマで執筆。2016年、東京都知事選出馬(4位)。
●ふでさか・ひでよ/1948年兵庫県生まれ。高校卒業後、三和銀行へ就職。18歳で日本共産党入党。25歳で銀行を退職し、専従活動家へ。国会議員秘書を経て参院議員。共産党ナンバー4の政策委員長となるも不祥事を契機に議員辞職。2005年7月離党。主な著書に『日本共産党』。
※SAPIO2016年10月号