第2は、ミャンマーとの関係改善だ。既にミャンマーの軍事政権とも、オバマ大統領は関係改善を進めていた。2015年11月の総選挙で、アウンサン・スー・チー議長率いるNLD(国民民主連盟)が全議席の6割弱を獲得し、今年3月にNLD党員のティン・チョウ氏を大統領とする新政権が発足した後、オバマ政権はミャンマーとの完全な関係正常化に動き出した。
ミャンマーと米国が関係を強化することは、中国を西側から牽制することになる。日中戦争で、日本軍が重慶の蒋介石政権を倒すことができなかったのは、米国と英国がミャンマーを経由する「援蒋ルート」で兵器、物資、資金などを供与していたからだ。このルートを押さえることで、中国のインド洋への物流ルートが米国の影響下に入る。
南スーダンの建国も、ミャンマーとの国交正常化もオバマ大統領の強いイニシアティブによって行われた。これは中国を牽制する上で、中長期的に大きな意味を持つ。
※SAPIO2016年11月号