国際情報

オバマ大統領の成果 中長期的に意味を持つ中国包囲網

「レガシー作り」に必死 Reuters/AFLO

 オバマ大統領の8年が静かに幕を下ろそうとしている。イラク戦争で迷走したブッシュ政権後の難しい舵取りを、オバマ政権は「チェンジ」の掛け声のもと乗り切ろうとした。結果はどうだったか。作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏が、オバマ氏の成果について語る。

 * * *
 米国のバラク・オバマ大統領は「チェンジ(変化)」を訴えて、2008年11月の選挙で勝利した。それから8年を経て、「オバマには何も出来なかった」というような否定的評価が主流のようだが、それは少し違うと思う。

 オバマ大統領が追求したのは、唯一の超大国である米国の地位を保全することだった。しかし、米国はその地位を維持するための潜在力をほぼ使い尽くしている。オバマにできることは、最初から「マイナスのミニマム化」に過ぎなかったと見るならば、所与の条件下ではそれなりの成果を出せたと思う。

 第1は、南スーダンの独立だ。2011年7月9日にスーダン共和国の南部10州が独立し、南スーダン共和国が成立した。この国は、米国が背後で画策して作り上げた傀儡国家である。

 1974年に南スーダンで油田が発見された。その後、この油田はかなり有望であることが明らかになった。そこに目をつけたのが中国だ。中国石油天然ガス集団(CNPC)と中国石油化工(シノペック)の国有石油大手2社を通じ、南スーダンの油田地帯に本格的に出資し、開発を進めたが、米国の傀儡国家である南スーダンが独立したので、中国が同地の石油を自由に処分することができなくなってしまった。

 南スーダンでは現在も、政府軍と反政府ゲリラの内紛が続いているが、油田は米国の影響下に置かれているといっていい。南スーダンを建国することで、米国は中国のアフリカ進出に大きなブレーキをかけることができた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン