日本株が反転攻勢を強めている。海外のリスク要因が後退したことに加え、サイクル的にも上昇局面に入っているとの指摘もでている。それに加え、この冬の外交イベントに注目が集まる。ケイ・アセット代表の平野憲一氏が海外ファンド筋に今後の日本株投資で注目する点を尋ねると、返ってきた答えは、一様に「プーチン・ロシア大統領の来日」だったという。
「海外ファンド筋は、12月15日のプーチン来日を最重要視しています。すぐに平和条約締結とはならずとも、日露関係が改善することは間違いない。日露接近は日本の株式市場にとって大きなプラス材料です」(平野氏)
12月のプーチン来日が成功すれば、安倍政権は年明けにも解散・総選挙に打って出ると言われる。
「混乱を嫌う株式市場にとって政権安定は絶好の材料です。この総選挙で自民党が圧勝して安倍首相の任期が延長となれば、年明け早々に日経平均が2万円に到達することもある。年初に2万円を超せば、1996年6月につけた高値2万2666円を20年ぶりにクリアできるかもしれない」(同前)
プーチン来日が福を呼び込むシナリオだ。一方、武者リサーチ代表の武者陵司氏は、米国のトップに注目する。
「新しい米国大統領が誕生すれば、祝儀相場で米国の景気が明るくなります。現在の状況から大統領に近いといえるヒラリー・クリントンが就任すれば、迅速な財政出動が行なわれ、ドル高が進む。当然、円安が進んで日本株も買われるでしょう。来年の日経平均は2万3000円もありえます」
2つの超大国が日本株を大いにバックアップするようだ。好材料がそろったいま、狙うべき個別銘柄は何なのか。経済評論家の杉村富生氏は平野氏と同じく「プーチン来日」という大イベントに注目する。
「極東開発を積極的に進めるロシアはエネルギー産業より農業に着目しています。プーチン来日で日露が蜜月になれば、今後の成長産業は農業。飛行機向けの電力供給会社ですが、今は野菜工場も手がけるエージーピー(JQS・9377)が面白い。生産と小売りを結びつけた直売所事業で躍進する農業総合研究所(マザーズ・3541)も伸びしろがある」(杉村氏)
※週刊ポスト2016年10月28日号