「山手の住民たちは芦屋浜を『埋め立て地』『ニセ芦屋』と呼び、『あんなもん芦屋ちゃう』とまで言う。私は大阪から引っ越してきたんですが、ホンマ腹立ちます。こんなことなら、もっと狭くても山手にしておけばよかった」(48才・会社員)
◆「芦屋出身もツライよ」という主張が嫌われる
しかし、“ホンマの芦屋”の住民も、なぜか出身を聞かれて「芦屋です」とは答えないらしい。10才から芦屋で育ち、一度は離れながらも現在は結婚を機に再び芦屋に住んでいる映画監督の大森一樹さん(64才)が言う。
「ぼくは神戸とか阪神間と答えます。『芦屋です』と言うと『ああ、いっぱいお金を出して映画を作ってらっしゃるんですね』という反応をされるので。芦屋といってもお金持ちなんかごくごく一部。女性は『芦屋出身のお嬢さん』と言われるから、いいんでしょうけどね」(大森さん)
同じく、福徳も住まいを聞かれたら「神戸市」と答えると言う。
「10代後半の頃に運転中、車にぶつかったことがあって、警察を呼んで住所を書いたら、それまでなんともなかったおっちゃんが急に、『首痛いわ~』と言い始めたんです。たぶん、たかれると思ったんでしょうね」(福徳)
芦屋出身を隠しつつも、芦屋市民たちの地元愛は強い。川島さんは「おぼっちゃまと思われるのがとにかく嫌」と言いつつも、こう語る。
「私は今、山梨に住んでいますが、2か月に1回は芦屋へ帰り、市内唯一のホテル『ホテル竹園芦屋』に泊まります。芦屋は静かでいい街ですよ。山も海も近いし、イノシシが出るほど自然も豊かだし」(川島さん)
東京に事務所を構える大森さんも「東京に住みたいとは思わない」と語る。
「東京は人が多すぎるし、ごちゃごちゃしている。それに比べて芦屋は、やっぱり街がきれいなんですよ。この間の日曜には、クリーンデーといって、町の人が集まってゴミ拾いをしていました。住んでいる人の意識も高いんじゃないかな」(大森さん)
※女性セブン2016年11月17日号