国際情報

北方領土返還に大前研一氏 「友好関係強化は修学旅行で」

プーチン大統領は面積等分方式がお気に入り Reuters/AFLO

 12月に来日するプーチン大統領と安倍晋三首相の“山口会談”で、北方領土問題が大きく進展しそうだ。もし平和条約が締結され、北方領土が返還された場合、日本とロシアはどうやって友好関係を深めていけば良いのか? 大前研一氏が解説する。

 * * *
 平和条約が締結されたら、ビザの簡素化によって互いに観光が活発になるだろう。その際、最も効果的なのは、修学旅行生の交換だ。

 このところ日本の修学旅行生は京都や東京などの国内観光地で宿が取りにくくなったため、台湾や中国に行くケースが増えているが、平和条約締結後は夏季であればバイカル湖などシベリアの雄大な大自然を体感する旅がよいのではないかと思う。そしてロシアの修学旅行生にも日本に来てもらうという相互交流を推進すれば、若者たちの草の根レベルから友好関係が深まっていくに違いない。

 ロシアは距離的にはフィリピンやタイなどの東南アジアより近いのに、ビザの取得に非常に手間がかかるため、今のところロシアを訪れる日本人観光客も日本を訪れるロシア人観光客も少ない。だが、これはそもそも不自然な状態である。

 たとえば、フィンランドもロシアとの間に領土問題で恨みを持っている。20世紀を代表する世界的な建築家アルヴァ・アアルトが手がけた「ヴィープリの図書館」という作品がある街は、もともとフィンランド領だったが、第二次世界大戦中の「冬戦争」の結果、現在はロシア領になっているのだ。

 しかし、フィンランドは返還を要求せず、ロシアと学生の交換・交流を行って密接な人的関係を構築している。強大な隣国ロシアは敵対するより「利用してナンボ」だということを、よくわかっているのだ。このフィンランドの“大人の振る舞い”は、日本にとって大いに参考になるだろう。

 そして、これには異論もあろうが、私は12月の“山口会談”で「択捉は不要」ということを表明すべきだと思う。そうして北方領土問題に完全な終止符を打てば、あとは前向きな友好関係を築き、経済協力に集中していくだけなので、日本としても安心してロシアに投資できるからだ。

 日本とロシアの接近に神経を尖らせているアメリカは、大統領選挙が終わる11月8日から新大統領が就任する来年1月20日までの約70日間は“真空状態”になる。プーチン大統領の訪日はこの間隙を狙ったものであり、そこで日本は北方領土問題を全面決着させてしまわねばならない。安倍首相の英断に期待したい。

※SAPIO2016年12月号

トピックス

東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
ディップがプロバスケットボールチーム・さいたまブロンコスのオーナーに就任
気鋭の企業がプロスポーツ「下部」リーグに続々参入のワケ ディップがB3さいたまブロンコスの新オーナーなった理由を冨田英揮社長は「このチームを育てていきたい」と語る
NEWSポストセブン
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《渡部建の多目的トイレ不倫から5年》佐々木希が乗り越えた“サレ妻と不倫夫の夫婦ゲンカ”、第2子出産を迎えた「妻としての覚悟」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《東洋大学に“そんなことある?”を問い合わせた結果》学歴詐称疑惑の田久保眞紀・伊東市長「除籍であることが判明」会見にツッコミ続出〈除籍されたのかわからないの?〉
NEWSポストセブン
愛知県豊田市の19歳女性を殺害したとして逮捕された安藤陸人容疑者(20)
事件の“断末魔”、殴打された痕跡、部屋中に血痕…“自慢の恋人”東川千愛礼さん(19)を襲った安藤陸人容疑者の「強烈な殺意」【豊田市19歳刺殺事件】
NEWSポストセブン
都内の日本料理店から出てきた2人
《交際6年で初2ショット》サッカー日本代表・南野拓実、柳ゆり菜と“もはや夫婦”なカップルコーデ「結婚ブーム」で機運高まる
NEWSポストセブン
無期限の活動休止を発表した国分太一
「こんなロケ弁なんて食べられない」『男子ごはん』出演の国分太一、現場スタッフに伝えた“プロ意識”…若手はヒソヒソ声で「今日の太一さんの機嫌はどう?」
NEWSポストセブン
1993年、第19代クラリオンガールを務めた立河宜子さん
《芸能界を離れて24年ぶりのインタビュー》人気番組『ワンダフル』MCの元タレント立河宜子が明かした現在の仕事、離婚を経て「1日を楽しんで生きていこう」4度の手術を乗り越えた“人生の分岐点”
NEWSポストセブン