◆金融機関を規制する「ドッド・フランク法」の廃止
2008年のリーマンショック後、オバマ政権下で成立した金融規制改革法(ドッド・フランク法)は、個人投資家の保護と金融市場の安定のために制定された法律だ。「第2のリーマン・ブラザーズ」を生まないように、米国の銀行が自社の運用資産を使ってリスク投資することを制限している。トランプはこの法律を「廃止する」と表明した。
「事実上の金融規制緩和で、米国の証券会社や銀行は、リスクを取った運営が可能になる。すでに金融市場の活発化への期待から、日本でも米国の金融機関の株式を多く保有する日本のメガバンクや大手証券会社などの金融株が上がり始めています。経済の要である金融株の上昇は市場全体に非常にポジティブな印象を与えます」(前出・藤井氏)
◆10年で58兆円もの「インフラ投資」
トランプ氏は選挙中、「10年で1兆ドル(105兆円)を老朽化した橋や道路、トンネルの改修に投入する」という戦後最大のインフラ投資を打ち出した。
大統領選後は「5500億ドル(約58兆円)」にトーンダウンしたものの、過去に類を見ない大型投資への期待は高まる。前出の真壁氏が説明する。
「これだけの規模の公共事業を行なえば、米国の経済が大幅に拡大することが期待できます。日本が米国の好景気の影響を受けるのはもちろん、米国で鉄道や道路などを工事するとなれば、日本製の建設機械や港湾施設などインフラ関連の需要が高まります。当然、日の丸企業にはプラスです」
※週刊ポスト2016年12月2日号