有名企業の事業を見てみると、「本業」からは想像もつかないような意外な組み合わせの「副業」を手掛けているケースがある。野菜栽培に参入する富士通もその1社だ。
遊休状態だった半導体生産工場で、レタスやほうれん草を作る富士通。なぜ野菜栽培だったのか?
「わずかな埃や雑菌などが入らないように密閉されたクリーンルームは、野菜栽培に適していると考えました」(富士通ホーム&オフィスサービス特命顧問・今井幸治氏)
野菜栽培と半導体製造は別物に思えるが、元半導体技術者で生産部長の宮部治泰氏はこう語る。
「温度や湿度などの条件を適切に管理すれば同じ結果が出るという点で共通しています」
売りは、苦みやえぐみを抑えた低カリウムのレタスだ。緻密に環境制御できる工場のもと、秋田県立大学との連携で開発。腎臓病患者の大敵であるカリウムの含有量は、通常の5分の1となっている。無農薬のため洗わなくても食べられるという利点もある。
撮影■佐藤敏和
※週刊ポスト2016年12月9日号