右利きと左利きの人口比は9対1。ハサミや自動改札など、何かと右利きの人に便利なようにできている世の中なので、当然、ビジネスシーンでも左利きは不便なことも。エコノミストの門倉貴史氏が、左利きならではの不便さと恩恵について語った。
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基本的に社会が右利きに便利な作りになっていて、必然的に左利きが合わせなくてはいけません。
例えばコンビニへ入るとすぐ右側に雑誌が並び、右手側の壁沿いにドリンク、お弁当と並んでいることが多いですよね。右手で商品を取りやすいような左回りの配置になっているんです。右利き向けの社会に合わせようと、普段から左利きの動作を頭の中で右に変換して生活しているので、道を説明する際に左右を言い間違えてしまうこともあります。
ビジネスシーンで失敗しがちなのは名刺交換。右利きの人が右手で、私が左手で名刺を差し出すと位置がかぶって衝突してしまう。名刺入れを出そうにもスーツの内ポケットが左側なので、左手では出せません。左利きを全うしようとすると大変なんです(笑い)。
子供の頃は漢字に泣かされました。筆順も右利きが書きやすい順になっている。左利きは自己流に書き順を変えてしまうので、漢字の書き順の正誤テストは苦手でした。ピアノ教室にも通っていたのですが、ピアノは基本的に右手で主旋律、左手で伴奏を弾く。利き手を使う伴奏の方が強くなってしまい、先生にいつも注意されました。
左利きは右脳に対応し、発想力に長けているとも言われます。経済評論家として、誰も着目しなかったニッチなテーマの研究に行き着いたことは、左利きの恩恵なのかもしれません。
●かどくら・たかし/1971年生まれ。BRICs経済研究所代表、同志社大学大学院非常勤講師。日本で初めて地下経済の研究に取り組んだ。エコノミストとして、テレビ番組にも多数出演。
※週刊ポスト2016年12月9日号