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角居勝彦調教師 ダートGI馬サンビスタの軌跡と奇跡

調教師・角居勝彦氏が語るサンビスタの奇跡

 JCダートから2014年に名称変更したダートGIで、角居厩舎は3勝(カネヒキリ2勝、サンビスタ1勝)している。数々の名馬を世に送り出した調教師・角居勝彦氏による週刊ポストでの連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」から、2015年、ミルコ・デムーロ騎乗で単勝12番人気ながら衝撃的な勝利を飾ったサンビスタに関する逸話を紹介する。

 * * *
 この馬は、かつて私が働かせてもらったグランド牧場生産ということで預かることになりました。2012年3月のデビューから一貫してダート。芝の適性もあったのですが、前さばきが硬くて歩様もよくない。壊れやすい懸念があり、柔らかい馬場で走らせたかった。スピードがあり、湿った馬場が得意でした。

 3戦目で未勝利を勝って4か月休養。2勝目を挙げた後も5か月休み。勝っても前さばきは硬いままで、こんな調子で休み休み使いました。

 2013年(4歳)の竜飛崎特別で4勝目を挙げた後も5か月の休養。しかし5歳になり復帰してからの3戦目、2月の門司Sで勝ちあっさりオープン入り。いわゆる「本格化」―体と気持ちが整う瞬間が5歳になって訪れたのです。

 オープンになったら「待ってました!」とばかりに1か月後の地方交流・エンプレス杯(川崎、3着)を走りました。ここでは同じ歳のワイルドフラッパーから2.2秒も離される3着で、そんなに甘くはないなと思わされました。

 しかし、ダート馬の成功は地方交流に出ること。勝てなくても2着に入って賞金を積み上げていくことが大事です。中央では牝馬限定のダート重賞がないので、サンビスタにとって、地方交流はありがたいのです。レース間隔も適度に開き、良い状態を維持しながら競馬ができる。

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