もしも停戦合意が破られた場合、自衛隊の「PKO参加五原則」の一つ、「紛争当事者の間で停戦合意が成立していること」に反してしまう。だからこそ、稲田大臣は「戦闘」を「衝突」と言い換え、停戦状態が守られていると強弁せざるをえなかった。

 また、混乱を極める南スーダンでは、政府軍と交戦する可能性もあり、自衛隊が「国や国に準ずる組織」に対して武器を使用すれば、憲法が禁ずる「武力の行使」にあたる。

 そのようなさまざまな縛りがある状況で、救援要請があった場合、救援に向かうかどうかの判断は自衛隊の派遣部隊長に委ねられている。大変厳しい判断を迫られることになるだろう。ここまでがんじがらめにされて、自衛隊は本来の力を発揮できるのだろうか。

 すべては自衛隊が「軍隊」ではないという建前に起因している。そもそも「駆け付け警護」なる用語は国際的には存在しない。「普通の軍隊」ならば制約なく指揮官の判断で行動できるが、自衛隊は軍隊ではないが故に苦肉の策で編み出した造語である。

 自衛隊が他国の軍隊並みに国際貢献するには、また、自衛隊員のリスクを低減するには、憲法9条改正の議論を正面からすべきだ。それには手間がかかるからだろうか、残念ながら「駆け付け警護」に賛成の保守系メディアからもそういった議論は出てこない。

 より深刻なのはリベラル系メディアだ。派遣される自衛官の家族を取材し、「心配だ」という声を大々的に取り上げる。そして、「駆け付け警護」がいかに問題であるかを印象づける。

 ご家族の心配は当然だ。だからこそ、自衛隊を「普通の軍隊」にすべきではないのか。ところがそれらのメディアは決まって「護憲」「安保法制反対」「駆けつけ警護反対」を繰り返すのみ。

「一国平和主義」を貫くのならば、尖閣諸島防衛に日米同盟などあてにせず、自衛隊増強・自主防衛を主張すべきだろう。

※SAPIO2017年1月号

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