国内

50才公務員女性が120万円のお墓を「衝動買い」

お墓を衝動買いする人も…

 高齢化が進む日本社会。今後、亡くなる人が増え、今よりももっと「お墓」について考えなければならない機会が増えるだろう。そこでお墓を衝動買いしたというある人物のケースについて、ノンフィクションライター・井上理津子さんがレポートする。

 * * *
「私は小さなお墓を衝動買いしました」と話してくれたのは、東京都町田市に住む公務員、吉原聡美さん(50才、仮名)。

 三男だった父が亡くなった3年半前のことだ。病院で未明に息を引き取り、家族、親戚への連絡や葬儀社の手配などに慌ただしく、夜が明けた。遺体となった父が寝台車で葬儀会館に運ばれるのを見送り、いったん家に帰るため、夫の車の助手席に乗った。

「その時、そうだ、お墓買おう──と急に思い立ったんです。急ぐ必然性はちっともなかったんですが、2年近く入院して逝った父に『住処があるほうが安心よね』みたいな気持ちだったんだと思います」

 13年前から同居していた。父の田舎・山形に本家のお墓があるはずだが、もう山形に親戚はいない。

 いつも、犬の散歩で尾根道を通る。そこから見渡せる丘陵に霊園ができていた。何気なく見ていた、その霊園がふいに頭に浮かび、夫に車を走らせてもらう。着くと、管理事務所が今まさにその日の営業を開始しようとする時間。飛び込んだ。

「100万円で買えるお墓、ありませんか」

 吉原さんは「100万円」を目安にしたのだ。

「墓石込み120万円の区画なら、昨日キャンセルが出たところですが」

 縁があったんだね、と夫が微笑む。区画を案内してもらい即決した。1平方メートル弱の狭い区画。「松竹梅」のように3種類見せられたオーソドックスな和型の墓石は、迷うことなくいちばん安いものを選び、自宅にいた母には事後承諾してもらった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

映画『アンダンテ~稲の旋律~』の完成披露試写会に出席した秋本(写真は2009年。Aflo)
秋本奈緒美、15才年下夫と別居も「すごく仲よくやっています」 夫は「もうわざわざ一緒に住むことはないかも」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
日本初となる薬局で買える大正製薬の内臓脂肪減少薬「アライ」
日本上陸の内臓脂肪減少薬「アライ」 脂肪分解酵素の働きを抑制、摂取した脂肪の約25%が体内に吸収されず、代わりに体内の脂肪を消費
週刊ポスト
専修大サッカー部を辞任していた源平監督(アフロスポーツ)
《「障害者かと思った」と暴言か》専修大サッカー部監督がパワハラ・経理不正疑惑で辞任していた 大学は「警察に相談している」と回答
NEWSポストセブン
日本人パートナーがフランスの有名雑誌『Le Point』で悲痛な告白(写真/アフロ)
【300億円の財産はどうなるのか】アラン・ドロンのお家騒動「子供たちが日本人パートナーを告発」「子供たちは“仲間割れ”」のカオス状態 仏国民は高い関心
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
日本製鉄によるUSスチールの買収計画
【日本製鉄のUSスチール買収問題】バイデンもトランプも否定的だが「選挙中の発言に一喜一憂すべきではない」元経産官僚が読み解く
NEWSポストセブン
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン