「立石氏は借金返済が遅れた時に馬毛島の登記申請書類をA氏に預けていた。それでも返済が滞ったのに業を煮やしたA氏が、根抵当権を仮登記したという経緯のようだ」(同前)
これに対して立石氏は、「根抵当権設定に承諾しておらず、仮登記の(立石氏の)印章は偽造の可能性がある」として根抵当権の抹消手続きを求めて、去る10月にA氏を訴えたばかりだ。
「抵当権がついたままでは売買しづらいし、国がA氏に金を払って抵当権を抹消してもらうというわけにもいかない。訴訟が解決して“きれいな土地”にならない限り売買成立は難しいだろう」(前出の防衛省関係者)
立石氏は「A氏とのことは係争中なので答えられない。島を買い取って22年。ようやくここまで漕ぎ着けたのだから見守ってほしい」と国への売却手続きを進める構えを崩さないが、果たして希望通りに事は進むのか。防衛省OBが語る。
「十数年前から馬毛島は訓練所の候補地として浮かんでは消えてきた。暴力団関係者の介在や防衛族議員の利権も囁かれたことから、防衛省幹部の間では“筋の悪い島”と呼ばれてきた」
そんな「曰く付きの島」にオスプレイ問題解決の糸口を求めざるを得ない状況自体に、基地問題の難しさが表われている。
※週刊ポスト2017年1月1・6日号