中内功氏が創業したダイエーも同様だ。イオンのライバルとして拡大戦略を進めてきたが、1990年代後半から経営が悪化し、1999年には赤字に転落。中内氏はすべての役職を辞任した。ダイエーは産業再生機構の支援を受け、2007年にイオン、ダイエー、丸紅3社による資本・業務提携に踏み切り、2015年にはイオンの完全子会社となった。
さらに“瀬戸内の暴れん坊”の異名をとる中山芳彦氏が会長を務めていた四国のマルナカも2011年にイオンの子会社になっている。
敗者を吸収することで巨大化したイオンだが、ここにきて曲がり角を迎えている。本業のスーパー事業が不振で、これらの事業で営業赤字を計上するようになっているのだ。
「岡田元也社長は、非常に合理的な考え方の人物なので、場合によってはイオンの核である流通業を切り離して売却することもありうる。岡田家の家訓に、『大黒柱に車をつけよ』という言葉があり、お客様の変化に合わせて店舗を移せ、既成概念に囚われず、環境変化に対応せよという意味。イオン自体が違う業種に変化することもありえます。大胆な変革ができるのも創業家が影響力を持っているからです」(前出・関氏)
※週刊ポスト2017年1月1・6日号