デザイン性の高いグランパーク・イン横浜のカプセルスペース
深夜便、早朝便への搭乗でも利用価値の高い「ファーストキャビン羽田ターミナル1」は、 空港とカプセルホテルの親和性を実証したが、空港へのカプセルホテル進出へはセントレアへも。
2017年春、Tube株式会社が中部国際空港旅客ターミナルビル1階に「TUBE Sq(チュウブ・スクウェア)」が開業する。空間と眠りのクオリティに気遣ったカプセルホテルを目指すという。LCCの就航も増加しているセントレアだけに需要が期待できそうだ。
近年進化系の出店が増えている大阪でも新しい動きが。1月に開業予定の「カプセルホテルアスティル道頓堀」ではセキュリティゲートも完備した女性専用エリアを設ける。ビジネスから観光ユースまで幅広いニーズに対応、ウッディなデザインを基調としつつスタイリッシュなインテリアで男女幅広い世代に“カプセルホテルでリラックス”を訴求する。
ファーストキャビンとJR西日本の提携について既述したが、現在JR東日本でもカプセルホテルを建設中だ。JR神田駅至近の「神田カプセルホテル(仮称)」で7月の開業を予定している。運営は、京都や成田空港などでカプセルホテルを展開する株式会社ナインアワーズ。
JR東日本ではすでに2016年12月「Train Hostel 北斗星」を開業している。運行廃止となった寝台特急「北斗星」の2段ベッド、個室寝台の実車パーツの一部を内装に再利用したもの。ホステルは既述したカプセルホテルと異なる業態だが、法律上では同様の簡易宿所カテゴリー。訪日外国人客の需要を想定し、低廉で長期滞在が可能な宿泊施設を展開するという。
一般のホテルと比較して、簡易宿所は営業許可のハードルが低くイニシャルコストも低廉、参入撤退が容易だといわれる。国際紛争や経済・環境問題など様々な要因で一気にクールダウンするリスクも内含するインバウンド需要に、簡易宿所という業態はマッチしているのかもしれない。
事実、訪日外国人客の需要を睨んだ簡易宿所施設が続々開業しているが、簡易宿所と一括りにできない側面もある。
カプセルホテル、ホステルなど業態毎にゲストの利用目的には差異がある。各業態が歩んできた歴史や文化も異なる。それぞれのエッセンスを理解しない上での、ブームに乗った安直な開業・運営を行う施設は淘汰されていくことだろう。リアルな利用者の声が届きやすい業態だけに、さらなる利用者目線を追求し、進化していくことを願ってやまない。