アメリカ大統領に当選が決まっただけで世界的に爆発的な株価上昇をもたらしたドナルド・トランプ氏。1月20日の就任式が経済や株価にどのような影響を与えるか、注目が集まっている。
もっとも歴代大統領を振り返ると、就任式当日は、大統領選後のお祭り気分から一転、現実路線に舵を切るため演説に派手さがなくなり、株式市場が消極的な反応を見せることが多かった。1953年のアイゼンハワーから振り返っても、上昇したのはジョン・F・ケネディほか4回だけ。もっとも悲惨だったのが2009年のオバマ大統領だ。
「大統領選後の勝利宣言では『チェンジ』や『ホープ』を連呼したが、就任演説ではほとんど使わなかった。マーケットは期待感が出尽くしたと判断して売りに走った」(証券会社幹部)
就任式当日の大統領の一挙手一投足が株価にダイレクトに影響を与えるといえる。
これまで過激発言で注目を集めたトランプ氏は、就任式で何を言い、市場にどんな影響を与えるのか。そしてその時、投資家はどんな行動を取るのか。投資のプロに聞いた。「海外投資のカリスマ」と言われる戸松信博氏(グローバルリンクアドバイザーズ代表)は、就任式をきっかけに「米国発の全世界的な好景気」が始まると予想する。
「米国の経済指標はトランプ就任前から相当に強い。例えば就任式の1か月前の12月の時点で、米国の平均時給は上昇し続けています。株と不動産も最高値を更新中で、米国人の消費マインドを指数化した『ミシガン大学消費者マインド指数』は12年ぶりの高水準に達した。
これを織り込んで期待インフレ率は10年で2%。つまり、今後10年は年率2%のインフレが予想されているのです。これは、毎年株や不動産、給料水準が2%ずつ上昇することを意味します」
そんな状況で就任式を機に景気刺激策が行なわれれば、上昇気流の起爆剤になると戸松氏は見ている。
「中長期的には、これまでトランプ氏が主張してきた大幅減税や大規模インフラ投資拡大が実行されれば、米国経済の勢いはさらに加速するでしょう。その波は先進国、最終的には新興国にも繋がっていき、全世界的な好景気に発展する可能性もあります」