国内

面接までいけないケースも 保育士業界での「男性差別」

保育士業界での「男性差別」は常識だった?(写真/アフロ)

 男性保育士が働きやすい環境をつくるとして千葉市が4月から実施する『男性保育士活躍推進プラン』を巡り、激しい議論が起きている。きっかけは、5才の娘の父でもある同市の熊谷俊人市長(38才)が「娘の着替えを男性保育士にさせないでと親の声があった」などとツイッター上で明かしたことだった。

 千葉市幼保運営課の古川真一さんは「賛否両論ご意見をいただいています」と明かす。

「実際意見をいただいたかたの半数が賛同してくださっています。反対の意見としては、『女児のおむつ交換は女性保育士にやってほしい』『女の子の羞恥心を守るため』『犯罪が心配だからやるべきでない』との声が寄せられています」

 一般社団法人子ども安全計画研究所代表理事でジャーナリストの猪熊弘子さんが言う。

「産婦人科のお医者さんだって男性がほとんどですし、産婦人科に限らず男性のお医者さんが女性の患者さんを診ることもありますし、今は男性の看護師も介護士もいます。その現場でも『私は別に男性でもいいわ』と言う人もいれば、『嫌だ』と言う人もいてセンシティブなところです」

◆保育現場の男性差別

 市長のツイッターを受けて千葉市には、現役の男性保育士からこんな電話があったという。

「今回こうやって騒がれること自体、肩身が狭い。こういう報道をされることでモチベーションが下がる」

 今では保育士と呼ばれるものの、以前の職業名は「保母」。1985年の男女雇用機会均等法や1999年の男女共同参画社会基本法の制定を契機として男性保母の就労者数が増えたことから、性別に依存しない「保育士」に改称された。男性保育士が社会に認知され、広がってきたといわれて久しいが、厚生労働省の2015年賃金構造基本統計調査によると、サンプル調査の対象となった労働者10人以上の保育所で、男性保育士はわずか5.3%にすぎなかった。

 今回の論争が起きていることに関して、元保育士の飯沼健太郎さん(仮名、33才)は「もともとそういった要望は昔からあることで、たいていの男性保育士は保護者からそう言われてしまうことも覚悟しているはず」と語る。

 飯沼さんには保育士として3才児を受け持っていた時、園長から「保護者からプールの授業のとき、女児の着替えはやめてほしいとの要望があった」と言われた経験がある。

「やはりいろいろな性犯罪が起きていますし、親御さんの気持ちもわかるので、まずは信頼関係をつくらなくちゃと思いました」

関連キーワード

関連記事

トピックス

モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁/時事通信)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト