開発者のパソ活さんは、個人による商品レビューを探せる「Googleブログ検索」を愛用していた。宣伝用のページや業者のコメントが混じりがちな通販ページではなく、実際に利用したレビューが読めるブログの方が、その商品を知る上で参考になることが多いからだ。ところが、ブログ検索がサービスを終えてしまった。代わりになるサービスとして作ったのが「ノイズレスサーチ」だ。
「使いやすいサービスがどこかにあるはずだと探しましたが、満足いくものがなかなかありませんでした。ネット検索のことを調べるうち、Googleカスタム検索を使えば特定のサイトを除外できるとわかったので、通販、キュレーション、まとめサイト、2ちゃんねるまとめ、動画やSNSなどを除外できる検索エンジンを自分用に作りました。これは同じような検索をする人にきっと役立つと思い、2016年3月末に公開したのが始まりです」
ノイズレスサーチでは、同サイトにある検索窓に語句を入力して検索するだけで、あらかじめ通販やまとめサイトなどが除外された検索結果が表示される。上記のように「-site:」と入力すれば同じような結果が得られるとはいえ、ずっと手軽だ。
サイトを公開してしばらくは知る人ぞ知る存在だったが、7月に複数のネットニュースで「Yahoo!知恵袋やNAVERまとめ、通販やキュレーションサイトなどを、あらかじめ除外して検索できる」と取り上げられたことをきっかけに注目が集まった。利用者からの声が集まるうち、スマートフォン対応や信頼できる医療情報に絞り込むボタン、他のサイトにジャンプするボタン、レシピボタンなど機能が増えていった。
「Google検索には信頼性の高い医療情報を探しづらいという問題が以前からありました。とはいえキュレーションサイトやアフィリエイト目的のページは数が多すぎて除外しきれない。どうすればよいかと考えるなかで、逆に大学病院がよく使うac.jp、政府機関のgo.jp、企業のco.jpなどのドメインに絞ることにして、ワンクリックで検索結果を絞れるボタンをつけました。医療検索では困っている人が少なくなかったようで、このボタンを加えたときには感謝のメッセージがいくつも届いて、つくってよかったと思っています」(パソ活さん)
その後も、検索ニーズにあわせて検索機能の更新を続けている。もっとも新しいものは、クックパッド内のレシピページ検索をできるボタンだ。
「基本的には、ノイズレスサーチの検索結果からはクックパッドを除外しています。というのも、検索結果上位がクックパッドのレシピ一覧ページばかりになり、そのなかでさらに探さないとならないため不便だったからです。とはいえ、クックパッドのレシピがまったく不要なわけではないので、クックパッド内を検索してレシピページを探しやすくするリンクを設けました。
検索演算子を入力してGoogle検索を使いこなせる人にとって、ノイズレスサーチはそんなに必要なものではありませんし、わざと極端な検索をしているので向かないものもあります。でも、レシピ検索、調べ物、商品レビュー・医療・健康情報などは探しやすいと思います。そして、検索に慣れていない人でも情報を探しやすい検索エンジンがあることで、検索によって生活の質を上げられることに気づいてもらえればと思い、今もバージョンアップを続けています」(パソ活さん)
上で紹介したノイズレスサーチ以外にも、プロのレシピだけを検索することに特化した「Qoogle」やまとめサイトなどを除外して検索できる「クリーンサーチ」など、ネット検索の便利さを取り戻そうという動きが活発化している。Googleも、信頼性が薄いサイトを検索結果の上位に表示しないようアルゴリズムを変更した。有効で便利なネット検索方法を理解することで、リアルの生活もよい変化を手に入れられそうだ。